『戦慄迷宮3D』清水崇監督、コワイ小道具へのこだわり
清水崇監督の最新作『戦慄迷宮3D』が10月17日(土)に公開された。彼の作品に登場する小道具はかなりコワく、本作でも“ヌイグルミ”が登場するのだが、その製作について聞いてみた。
前作『輪廻』(05)では、本来かわいいと思うはずの“人形”が登場する。清水監督は、「本来可愛いと感じるものだからこそ、逆に不快な思い出が宿ったら怖いですよね。それは描き方や物語など映画の印象の力だと思います」と話す。
「今回は時間がなかったので、既成のウサギのヌイグルミをいくつか持ってきてもらい、顔のパーツやお腹のチャック、その中の布地の色合いを内臓っぽくなど様々な箇所に手を加えてもらって、映画独自のキャラクターにデザインし直しました」という具合に、小道具作りも演出面での重要なファクターの一つになっている。
また、監督は「かわいいとか面白いものって逆転できる、そういうものに惹かれますね」という。「大友克洋さんが、よく老人や子供を重要なポジションに位置づけるのってすごく共感できるんですよね。同じ人間なのに、何考えてるのか、どう行動するのか読めない瞬間があるんです」と自らの作劇における嗜好性を明かした。
続けて、「『(となりの)トトロ』(88)を観て、トトロが大口を開けた瞬間って、まずは“食われるんじゃないか、この子”と思いませんでした?(笑) あれ、企画タイトルは“おばけのトトロ”でしたよね。『となりのトトロ』っていうタイトルの方がよっぽど怖いですよね(笑)。勿論、大好きですけど(笑)」と、ホラーで名を馳せた監督ならではの視点を垣間見せた。
柔らかい語り口と朗らかな人当たりが印象的だった清水監督。最新作『戦慄迷宮3D』の小道具にも「ホラーと笑いは紙一重」と常々口にしている彼の美学が詰まっている。【Movie Walker/堀田正幸】