エンリコ・ステッラの小説『フランチェスカという名の娘』の映画化で中年男と娘の情事を描く。カステラーノ、ピポロ、サルチェが共同脚色、新進のルチアーノ・サルチェが監督。撮影はエリコ・メンツェル、音楽はエンニオ・モリコーネ。出演はシナリオライター、シャルル・スパークの娘で「十七歳よさようなら」でデビューしたカトリーヌ・スパーク、「生きる歓び」のウーゴ・トニャッティ、人気歌手ジミー・フォンタナ、その他ベアトリス・アルタリバなど。
ストーリー
アントニオ(ウーゴ・トニャッティ)はことし三十九歳。仕事は順調だし女の子にもこと欠かない。妻と別れて数年、独身生活を楽しんでいる。夏も終りのある日、寄宿舎にいる息子に逢うため、彼は海岸ぞいのハイウェイをドライブしていた。その時、ハイティーンたちを満載した二台の自動車が行手をさえぎった。海岸のバンガローに週末を楽しみに来ている連中だった。アントニオがそのバンガローに連れ込まれ、連中の仲間入りをしたのはちょっとした偶然からである。白い水着の少女フランチェスカ(カトリーヌ・スパーク)が彼を迎えた。少女はまだ十六歳。稚い気紛れと本能的な媚態が奇妙に混り合ってアントニオを掴えた。彼は若い連中と張り合うために、海にとびこんで溺れそうになったり、年を忘れて一緒に騒ぎ廻ったりした。だが、フランチェスカは今までの女の子たちとまるで違っていた。彼に優しくしたすぐあとで、平然と他の青年とキスをしたりする。彼はとまどった。迷えば迷うほど執着はつのっていく。「君が好きだ……。愛している。結婚しよう……」最後の切り札さえも、若い連中が笑いものにする。腹立しさが欲望をかりたてた。ついに彼は仲間のボスに戦いをいどんだ。体当りで相手を倒したアントニオはフランチェスカの手をひいて渚に出た。夜につつまれた波打ち際で、フランチェスカは彼の胸に抱かれた。今こそ彼女は自分のものだ。もう離しはしない……。ふと彼が眼をさましたとき、夜はすっかり明けていた。だが、何たることか、フランチェスカは若者たちと消えていた。「フランチェスカ」彼の呼び声は空しく渚に消えるばかり。フランチェスカにとって昨日のことは、青春の日の気紛れにすぎなかったのか。アントニオは傷ついた心をひきずって海岸を後にした。
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作品データ
- 原題
- La Voglia Matta
- 製作年
- 1962年
- 製作国
- イタリア
- 配給
- 東和
- 初公開日
- 1962年
- 製作会社
- DDL
[c]キネマ旬報社