カール・ハインツ・ベーム
Frank Wilson
ラインハルト・フェーダーマンの「ウィーンのロミオとジュリエット」を原作に、ヨアヒム・フェルナウとヘルムート・アシュレイが共同で脚色し、「初恋物語」のルドルフ・ユーゲルトが監督したメロドラマ。撮影はヘルムート・アシュレイ、音楽はフリードリッヒ・マイヤーが担当。出演はカール・ハインツ・ベーム、「男と女(1966)」のアヌーク・エーメ、ヴェルナー・ヒンツ、カール・ベリー、ペーター・カルステンほか。製作はマックス・コスロウスキー。
一九五五年初頭、ウィーンはまだ四カ国の占領下にあった。アメリカのニューヨーク・タイド紙の記者フランク(K・H・ベーム)はある記者会見の席で、若い美しい娘ニーナ(A・エーメ)を見つけ食事に誘った。彼女はソ連タス通信の女秘書で、自分を誘った相手がアメリカ人と分ると、再会を断って去った。フランクの友人エディは米国人がソ連女と親しくしようとしても無理だ、と警告したが、フランクはニーナにコンサートの招待状を送って、何とか交際を深めようとした。ニーナは最初気が進まなかったが、上役ツバルヨフ(P・カルステン)が二人の関係を知って嫉妬の目を彼女に向けはじめたのに反発を感じて、フランクの誘いに応じた。そして二人はある夜永遠の愛を誓った。それを知ったツバルヨフのニーナに対する恋情は憎悪と化した。彼は二人の現場をおさえようとレストランへ行った時、たまたまいたフランクの友人エディに八つ当りして射殺してしまった。ちょうどそこへ現われたフランクは狂人のようなツバルヨフをとりおさえようとして誤って殺した。彼は正当防衛だったにもかかわらず自首しなかった。もしそうすれば強制送還は必至であり、ニーナとの別離も明らかだったからだ。彼は叔父ローレンツ(C・ベリー)の家へ隠れ、ニーナと一緒に逃げようと機会を待った。だが突然ニーナは帰還命令を受けた。途方に暮れた彼女はローレンツと相談の末、自殺を装って、何とかウィーンにとどまろうとした。だがフランクはニーナ自殺のニュースを聞き、あまりの驚きで運転を誤り、重傷を負ってしまった。ニーナも彼がこのニュースを信じこみはしないかと心配になり危険を忘れてケルンテンへ逃げのびたフランクを追ったが、彼は死んだという話だった。彼女がソ連へ帰る決心でいた矢先、思いがけなくフランク生存の報が米軍兵士によってもたらされた。今やウィーンも解放され、ふたりの愛をはばむ壁はなかった。
Frank Wilson
Nina Iwanowa
Oberst Hapulowski
Hofrat Lorenz
Major Tobaljow
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