マリナ・ヴラディ
Marie
アンドレ・ルマークルの小説「生きる時」をベルナール・ポールが脚色・監督。彼はイデックの出身で永年ルネ・クレマン、ジョルジュ・クルーゾー、アルベール・ラモリスなどの助監督をつとめ、これが監督第一作。撮影はウィリアム・ルプシャンスキー、音楽は「大混戦」シリーズのジョルジュ・ムスターキが担当。出演は「甘い大陸」のマリナ・ヴラディ、「雨上りの天使」のフレデリック・ド・パスカル、新人クリステア・アブランほか。製作はジャック・ルーフィオ。
ルイ(F・ド・パスカル)は壁塗り職人。妻マリー(M・ブラディー)と二人の子供がいる。一見、平和で幸福な家庭だが、電機器具の月賦を払うため、遅くまで働らかねばならない。したがって、夜は、妻への愛情を示すより少しでも多くの睡眠をとることの方が重要だった。そんな夫に、妻は不満だった。そして、子供の学校の教師カストロへと、急激に傾いていった。妻の行為を知った夫ルイの驚きと悩み。とうとう仕事中、目まいを起こして倒れてしまった。そして医者から聞かされた病名は“性不能”--その夜、ルイは荒れた。売春婦をひろい、一夜をすごす。一方、妻マリーと教師カストロは、このまま進めば、お互いの不幸と悟り、永遠に別れを告げる。泣いて帰ったマリー。翌日の夜遅くルイが帰ってきた。二人の間に瞬間、暖かい空気が流れる。ルイは病気のことを告げた。マリーは、これまでの自分のわがままが夫を追いこんだことを知り素直に、あやまるのだった。二人にとって、この夜は、新しい出発となるだろう。
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