エステラ・インダ
Marta
「アンダルシアの犬」など前衛映画作家として知られたルイス・ブニュエルが1950年に監督したメキシコ映画で、悪に染まった少年たちの生態を描いたもの。製作はオスカル・ダンシヘルス、脚本はブニュエル監督とルイス・アルコリサの共同。撮影は「真珠」のガブリエル・フィゲロアの担当。出演者はエステラ・インダ、アルフォンソ・メヒア、ロベルト・コボらである。
メキシコの大都会の裏には、悲惨な生活を送る貧しい人々の集落があった。そこの子供たちは悪に染まって行くばかりで、手のつけられぬ存在であった。その頃、かれらの首領格ハイボ(R・コボ)は感化院を脱走して、再び不良仲間の前に姿をあらわした。ハイボは自分が感化院へ送られたのはフリアンの密告だと知って、ひそかに復讐を誓った。ハイボらは、市場へ出かけ、そこにいる盲目の音楽師を襲おうとした。彼は自分の体に笛、太鼓、ギターをくくりつけ弾きながら歌って金を乞う哀れな老人であった。ハイボらは彼の銭入れを狙って失敗し、その夕方、彼を待伏せて惨々な目にあわせた。不良仲間の一人ペドロにはまだ女盛りの母とたくさんの弟妹たちがいた。夜おそく帰って来たペドロは母に叱りつけられ食事を与えられないで追い出された。彼は迷子のオイトスに出会い、オイトスを連れて仲間のカカリツオの納屋へ泊りに行った。そこへ宿なしのハイボも泊りに来た。カカリツオの妹メチェは美しい少女で、いつも彼女に関心を見せるハイボを嫌い、ペドロやオイトスに優しくした。翌日、ハイボはペドロにフリアンを呼び出させ、密告の仕返しにフリアンを殴殺した。オイトスは盲目の音楽師と知り合い、彼に養って貰うことになった。やがてフリアンの死体が発見され、警察の動きか目立って来た。ハイボは唯一の目撃者であるペドロを脅迫し、口を封じた。その晩ペドロは夢を見た。フリアン殺人事件におびえ、母の優しい愛情を求める夢だった。ペドロは母をよろこばそうと決心し、鍛冶屋に徒弟奉公したが、ハイボが来てナイフを盗んたので、ペドロも逃げなければならなくなった。ハイボはペドロを見張るため彼の家へ行った。ペドロは居ず、脚を洗う母に欲清を感じてハイボは彼女と関係した。ペドロは遂に感化院へおくられた。そこの校長はペドロの性質が善良なことを見ぬいて金を与え使いに出した。しかし、ハイボが待伏せしていて金を奪ったので、ペドロはハイボのフリアン殺しを人々に告げた。ペドロはハイボに殺され、ハイボも警官の一弾にたおれた。
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