愛国者:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
愛国者
愛国者
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愛国者

1931年公開
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ワルター・ライシュが組立書き下ろした脚本を元に「二重結婚」「不滅の放浪者」のグスタフ・ウツィツキが監督にあたった映画で、主なる出演者は「悪魔の寵児」「ニーナ・ペトロヴナ」のブリギッテ・ヘルム、「悲歌」「ハンガリア狂想曲」のウイリイ・フリッチュ、「地平線」「母と子(1927)」のオスカー・ホモルカ、「ジーグフリード」のテオドル・ロース、カール・ルドウィッヒ・ディール、ハリー・ハルト等。カメラは「不滅の放浪者」「悪魔の寵児」のカール・ホフマンが担当している。

ストーリー

一九一四年。世界大戦の勃発と同時にドイツ秘密間諜Z十三号は駐在していたデンマークから急遽呼びかえされた。旅の疲れをいやすまもなく任命されたのはロシアの陸軍状況偵察である。雪に埋もれたモスコーへZ十三号は米国から来た提琴音楽家というふれこみで入国した。早速華やかな音楽会を催す。群集った社交界の貴婦人の中で目立って美しい夫人は陸軍参謀司令官夫人で生まれはドイツの人と聞いた。Z十三号の目は輝く。彼は夫人に近づいて行った。或夜最も重大な会議が夫人の邸で行われることをZ十三号は知った。この秘密さえ握ればドイツはロシア陸軍を粉砕することが出来るのだ。Z十三号は夫人を説いた。夫人は夫を愛している。夫の名誉を傷つけ夫を売る行為を今Z十三号は夫人に説いているのだ。けれど一方それは祖国を救うことだ。自分の同胞の幾万人が敵の銃火を逃れられかえって華々しい勝利を得ることが出来るのだ。その背後にある幾万の女性が夫を、我が子を失わずに済むことなのだ。けれど夫--その夜司令官の邸には参謀本部の将校がことごとくあつまた。ロシアの運命を賭す重大な会議が開かれるのだ。司令官夫人は少し青白かったが、いつもと同じ端麗な姿をして一同を迎えた。そして客を大きなサロンに通す。サロンにはみごとなスタンド用の花びんがある。一同用意されたテーブルを囲んだ。密議。そのとき程近いレストランの地下室ではZ十三号が目を輝かしてラジオを聞いていた。スタンドの花瓶に仕掛けたマイクロフォンを通じて語られるロシア陸軍の作戦計画が、その最も重要な部分になったときラジオは突然切れてしまった。所を隔ててZ十三号の顔と司令官夫人の顔とが同時にサッと青ざめる。将校達は地図を見るためにスタンドのスイッチを切ってしまったのであった。併し一度決心した夫人は最後まで祖国のために尽くすのであった。春--ヴォルガ河の水温む頃。ヴェールで深く顔を包んだ背の高い夫人が楽譜と見えるものを大事そうに抱えてモスコーの町を消えた。かたくなと見えるまで振り返りもせず、強いまなざしを空に向けたまま彼女は歩いてゆく。愛国者!淋しいその名。併しかかえた包みを解けば祖国は輝く勝利を得るのだ。そのためにこそ夫を捨てた彼女であった。故国に向かって、空に向かって、彼女は行く。

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作品データ

原題
IM GEHEIMDIENST
製作年
1931年
製作国
ドイツ
配給
東和商事
初公開日
1931年
製作会社
ウーファ


[c]キネマ旬報社