アンドレ・グラドフ
ニキータ
反体制作家とされていたプラトーノフの『ポトゥダニー河』と『職人の誕生』を原作としたため、長い間オクラ入りにされていたが、ゴルバチョフ新政権下のペレストロイカによって公開され、ようやくソ連の内外で名前が知られるようになったアレクサンドル・ソクーロフ監督の78年のデビュー作。青年と娘とのストイックな愛の生活と鬱積した心理を、労働者の記録フィルムの断片やダークカラーの場面処理で見事に表現し、確かな作家的個性を感じさせる秀作。音楽はK・ペンデレツキイとO・ヌッスィーオとA・ヴルドフの既曲を使用している。87年モスクワ映画祭アンドレイ・タルコフスキー記念特別賞、ロカルノ映画祭銅賞受賞。
ソ連の国内戦が終わった年の秋、赤軍兵士ニキータ(アンドレ・グラドフ)は、故郷の村に復員した。そこには年老いた父と幼なじみの娘リューバ(タチャイナ・ゴリャチョワ)がいた。ふたりは共に貧しかったが、心ひかれあい、結婚する。しかしニキータは若妻との肉体関係を嫌悪し、精神的にしか愛せなかった。彼は苦悩の末、家出し、街で放浪する。苦しみの果て、彼が見いだしたものは、新たにリューバとの愛に生きる意欲だった。
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