中村れい子
伏島世志子
呪われた出世の秘密をかかえて復讐に燃える男とその犠牲になる女の官能と破綻を描く笹沢左保の同名小説の映画化。脚本は曽根中生と佐伯俊道、監督は「太陽のきずあと」の曽根中生、撮影は「快楽温泉郷 女体風呂」の水野尾信正かそれぞれ担当。
日本のホテル王として君臨するシルバー興業会長・伏島京太郎の御曹司・裕之と結婚した世志子は、何不自由ない優雅な日々を送っていた。しかしその幸福が根底から崩れる日がやって来た。夫の部下だと名のる男に連れ出され、義父がオーナーをつとめるホテルの一室に監檻され犯されたのだ。何度も逃亡を試みるが、男の獣のような欲望の前には屈せざるを得ず、強制的な凌辱の日々が続いた。男は、中戸川不時と名のり、京太郎の悪辣非道な事業拡張のために旅館を経営していた一家は離散を余儀なくされ、両親は自殺したと告白する。世志子も、伏島一族の世間体をはばかるばかりの冷淡な態度に、自分の内で何かが変わったことを知る。数日後、中戸川は、京太郎に身代金を要求しホテルに呼び出した。取引きの最中、喘息の持病持ちの京太郎が常用しているカプセルに毒物を混入し、新聞は中戸川の思惑通り、出張先で京太郎が死亡したことを伝えた。翌日、中戸川は身代金を世志子名義にした預金通帳を渡し、二人で新たに旅立とうといった。世志子も、中戸川との新生活を夢見、新しい生命が宿っていることを告げた。中戸川はその言葉を聞いて茫然とした。実は、京太郎こそ中戸川の実父で彼は強姦によってこの世に生を受けたのだ。その屈辱的な出世を呪い、実父を処刑したはずであった彼が、今同じことをしてしまった。中戸川は自分を処刑しなければもはや実父殺しの正当性がなくなると叫び、ホテルの部屋から飛び降りた。
監督、脚本
脚本
原作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
プロデューサー
スチール
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