馬渕晴子
詩雨おばさん
「異邦人の河」の李学仁監督の第二作目。ソウルに母国留学していた在日韓国人学生がＫＣＩＡに逮捕され、惨殺されるまでと、彼の母の悲哀を描く。脚本・監督は李学仁、撮影は中村賢二郎がそれぞれ担当。（16ミリブローアップ35ミリ）
ストーリー
品川の大井町で小さなホルモン屋を営む詩雨おばさんは、いつも息子からの手紙を心待ちにしていた。息子・詩雨はソウルの大学に留学したが、「スパイ国家顛事件」の容疑でＫＣＩＡ・韓国当局に一年前に逮捕され、抱留されていた。詩雨おばさんは、手紙が着くたびに、詩雨の心暖まる言葉に涙を流すのだった。そんな彼から、少々きついが元気で頑張っていると、久し振りに手紙が届く。詩雨おばさんは、御用民団の幹部や、親戚の人に反対されながらも、貯めた金をそっくり「救援の人々」に手渡してしまう。ある日、詩雨おばさんに、詩雨の死亡通知が届く。届けてくれたのはＴ氏であった。彼は在日韓国人の商社マンであり、本国の親戚と妻を人質にとられているという。またＴ氏が良心の苛責にたえかね告白するところによると、詩雨は残忍な拷問の果て、むごたらしく射殺されたとのことであった。詩雨おばさんはむしろＴ氏をなぐさめ、勇気づけて、帰した後、酒を飲みほした。しかし、くやしさと哀しみをこらえられず、涙が頬をつたい、唇をぬらしていくのだった。翌日、詩雨おばさんは、いつもと変らない様子で買出しをして店を開け、午前中一番の郵便を今日もかわらずに待ち続けるのだった。
キャスト
志賀圭二郎
詩雨
小林悦子
虹（フォン）
小松正方
肉屋のおやじ
常田富士男
ペット屋のおやじ
坂本長利
親戚のＧおやじ
江角英明
KCIA・Ａ
南雲勇助
KCIA・Ｂ
鶴岡修
KCIA・Ｃ
武田洋和
KCIA・Ｄ
大林丈史
囚人・張
石津康彦
郵便配達夫
湯沢勉
Ｔ氏
谷本一
「救援会の人々」・若い男１
中西和久
「救援会の人々」・若い男
ミイラユキ
「救援会の人々」・女
岩崎信忠
御用民団・幹部Ａ
伊藤浩二
御用民団・幹部Ｂ
堀礼文
工員の男
堀内正美
若い男
粟津號
食い逃げの男
河原崎長一郎
詩雨の父
高哲国
ぶつかる学生
夕張月子
ペット屋の客
青木一久
組織の若者・金
スタッフ
監督、脚本、製作
李学仁
撮影
中村賢二郎
音楽
小室等
美術
藤井悦男
編集
浅井弘
照明
山下博
録音
音羽洋
効果
福島幸雄
助監督
大上典保
記録
浅井ひろこ
製作補
霜村裕
協力
オフィス77
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 製作年
- 1977年
- 製作国
- 日本
- 配給
- その他
- 初公開日
- 1977年9月24日
- 上映時間
- 112分
- 製作会社
- 縁豆社
[c]キネマ旬報社
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