二代目松本白鸚
豊田喜一郎
現在のトヨタ自動車を築いた豊田喜一郎の自動車を作りだすまでの苦闘の人生を描く。木本正次の原作『夜明けへの挑戦』の映画化で、脚本は「地震列島」の新藤兼人、監督は「甦れ魔女」の佐藤純彌、撮影はの並木宏之がそれぞれ担当。
明治二十六年、アメリカで最初の自動車が完成した。その頃、静岡県浜名郡の豊田佐吉は借金をしながら織機の発明に取り組んでいた。翌年、佐吉の妻、たみは喜一郎を産むが、発明に夢中の夫から離れ、兄に連れられ実家に戻った。明治三十年、佐吉は織機を完成後、妻の浅子の顔も爽やかだ。数年の歳月が流れた。喜一郎は帝大に入り、妹、愛子の婿養子、児玉利三郎が会社の経営に専念する。その頃から、喜一郎は、密かに自動車の運転を習い、研究を始めた。暫くして、喜一郎は二十子と見合い結婚する。佐吉の自動織機は、世界の頂点をゆく完成度を示し、会社は順風満帆だ。だが、天皇陛下に勲章を授与され、親族一同の記念撮影のとき、佐吉は倒れた。そして「喜一郎、お前は自動車をやれ」と一言残して世を去った。喜一郎は自動車製作の決意を固め、腹心の大島理三郎、菅隆俊に「自動車を作る」と宣言。毎夜、工場ではシボレー車を解体しては組み立てる作業が続けられた。ある日、その研究が利三郎の耳に入った。利三郎は佐吉から受け継いだ会社を守り発展させねばならない重責があったが、喜一郎の金の喰う自動車研究の後押しをする。喜一郎は、母、浅子の紹介で、岡本からも研究の費用を借りた。だが、その金も底をつき、喜一郎は自動車工場建設をめぐり利三郎と対立する。しかし、「お兄さんが自動車の為に会社を潰したって、お父さんは満足されます」という愛子の言葉に利三郎は自動車に賭ける決意をする。工場が建ち、喜一郎も油だらけとなって働き回る。大島と菅はヨーロッパ、アメリカに渡り、技術の研究に日夜奔走する。遂にエンジンが作動した。「四十、五十、六十馬力……フォードに勝った!」完成したのである。栄光の豊田一号車が遂に完成したのである。数日後、浅子から実母たみの存在を知らされ、喜一郎は一号車で病院にたみを見舞った。たみは満面に涙を浮かべている。喜一郎の、栄光の一号車はゆっくりと走り出した。
豊田喜一郎
豊田利三郎
豊田佐吉
浅子
愛子
二十子
たみ
大島理三郎
管隆俊
佐藤亀次郎
岡本藤次郎
石田退三
岡部岩太郎
隈部一雄
坂薫
西川秋次
神谷正太郎
山口昇
野末弥七
谷口房蔵
一宮運送・荷主
加藤誠之
豊田章一郎
豊田英二
少年時代の喜一郎
監督
脚本
原作
製作
製作
撮影
音楽
音楽監督
美術
編集
録音
録音
助監督
企画
音楽プロデューサー
スチール
制作補
[c]キネマ旬報社