川村真樹
まさみ
ふとしたことから知りあい、愛し合った若い未亡人と、農協を襲って逃走中の過激派学生。しかし、二人の間には目に見えない宿命が刻一刻と迫って来る。脚本は河辺和夫、監督は「関東破門状(1971)」の小沢啓一、撮影は「エロスの誘惑」の山崎善弘がそれぞれ担当。
田舎道にポツンとある小さなガソリンスタンド。まさみはそこの女主人である。夫は三年前に亡くなり、若くして未亡人となっていた。ある日、まさみは灯油を小型車で配達の途中に、後輪を溝の中に落して困っている時に、通りがかりの次郎という青年に助けてもらった。助けてもらった礼にと、ますみは次郎を夕食に招待し、その夜部屋に泊めてやる。夜、二人は自然に結ばれた。翌朝、次郎は店を出ようとしたが、一人で忙がしそうにするますみを見て、仕事を手伝っているうちに、ズルズルと居着いてしまうようになった。つぎの朝、近くの農協が過激派学生に襲われたという新聞記事を見た次郎は一瞬ドキリとするが、ますみはそんな次郎に気がつかない。やがて、警察の動きが活発になり出し、身の危険を感じた次郎は、仲間と落ちあい逃亡を企だてた。しかし、警官に発見されてしまった。激しい銃撃戦。仲間は殺され、次郎も銃弾を受け倒れた……。
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