五十嵐淳子
時任純子
恋に芸術に行きづまり十八年の短い一生に自ら終止符を打った少女を描いた渡辺淳一の同名小説の映画化。脚本は「はだしの青春」の石森史郎と、岡田正代、監督は「白鳥の歌なんか聞えない」の渡辺邦彦、撮影は木村大作がそれぞれ担当。
雪が降りしきる夜の札幌。人影の絶えた街角を一人歩く時任純子、18歳。釧北峠、吹雪の向に阿寒湖が見える。巻き起こった雪嵐が視界を閉ざし純子の姿を吹雪の中に消した。純子は14歳の時、絵を浦部雄策画家に師事、16歳にして道展初入賞、全道学生展最優秀賞を受賞し、天才少女画家と騒がれる。そして高校にも学校側黙認の形で自由に出入りした。そんな純子を、学級委員の田辺俊一が忠告した事から二人は親しくなり唇を重ねるまでになった。純子のアトリエは姉の蘭子と同じ部屋にある。二人はまるで恋人同士のようだった。愛をテーマに作品を描こうとした純子は、浦部に愛を知らない純子には無理だと言われた。純子は自ら浦部の前に体を投げ出した。久しぶりに純子は俊一と逢った。俊一が後学旅行で東京に行く時、丁度純子も展示会で東京に出ているので、東京で逢う事を約束する。また純子は自分の魅力を確かめるために姉の恋人の村木を横取りしてしまう。東京。俊一は展示場で純子に会うが、彼女を取りまく華やかな雰囲気に気押される。純子のアトリエ。恐ろしいまでの気迫でイーゼルに向っている純子。殆んど完成した作品を無残にも塗りつぶす。そして睡眠薬で自殺未遂。回復した純子は、また奔放に遊び始めた。その頃、彼女はどこか得体の知れない殿村を知った。殿村が釧路の診療所に行く事になり純子を誘った。浦部は家庭を捨ててまで純子と一緒になりたいと言う。だが純子は釧路に向った。白一色の大雪原。純子の表情に安らぎと落ち着きが感じられたのもつかの間。殿村が医師法違反で逮捕された……。札幌に戻った純子は、アトリエを片付け、浦部と俊一に別れを告げた。そして刑務所の殿村を訪れ、絵を売って作った保釈金を殿村に渡した。純子の眼からとめどもなく涙が流れた。純子は阿寒に向った。雪の乱舞の中に倒れ、深い眠りについた……。三カ月後、眠っているように美しい純子が雪の中で発見された。
監督
脚本
脚本
原作
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
スチール
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