淡島千景
静
吉川英治原作「新・平家物語」の今回は第三部。一代の名将源義経と絶世の佳人静御前との哀切きわまりない悲恋を大映カラーで描く。脚色は「曽我兄弟 富士の夜襲」の八尋不二、監督は「滝の白糸(1956)」の島耕二、撮影は「夜の河」の宮川一夫の担当である。主な出演者は、「日本橋」の淡島千景、「月形半平太(1956)」の菅原謙二、「天上大風」の香川京子、「四十八歳の抵抗」の船越英二、「続花頭巾」の勝新太郎、「霧の音」の上原謙、「月形半平太(1956)」の三益愛子、「午後8時13分」の水戸光子、他に浜口喜博、進藤英太郎、千田是也、見明凡太朗、永田靖、市川小太夫、羅門光三郎、東山千栄子。歌舞伎の中村鴈治郎が大映契約第一回出演する。
寿永三年春。源氏の大将義経は、平家を一の谷に破り都へ凱旋した。ところが鎌倉は義経を解任、代りに異母兄範頼を源氏の総大将とした。かねて鎌倉の兄頼朝の猜疑に心を砕いていた義経は悲憤に燃えた。傷心の一夜、義経は都一番の白拍子静と逢った。静は義経と幼馴染で、これを機会に彼女は堀川の館に迎えられた。その頃、頼朝と彼の妻政子は、義経に無断で河越太郎の娘百合野を彼の妻と定め、梶原景時を通じて伝えさせた。しかし義経は、妻は静しか持たぬと断言、頼朝夫妻の憤激を買う結果となった。が範頼敗戦の報に、止むなく頼朝は義経を再び追討使に任じた。壇の浦の源平合戦は義経の勝利に帰し平家は海底に沈んだ。義経の信望は日増に募った。が、頼朝は義経敵視の色を一層深めた。天下統一のため弟の存在は危険だった。殊に頼朝の憎む陰謀家新宮十郎行家が義経の傘下に入ったと聞くや、頼朝は兄弟の縁を切った。義経は兄の誤解をとくべく鎌倉へ向ったが素気なく追返された。頼朝・義経不和の噂は都に戦いの恐怖を呼び、果せるかな一夜、土佐坊昌俊らが堀川館を襲った。義経は大勝したが、この一戦を契機に策動家行家は頼朝・義経の決戦を企てた。しかし義経は戦乱に喘ぐ民の身を考え自ら西国落ちを決意した。静を伴った西国への旅は苦難に満ち彼らの船隊は暴風雨で難破、主従僅か八騎となって雪の吉野山へ落ちのびた。しかし鎌倉の追求は厳しく、吉野の悪僧に襲われるなど危難を脱しはしたが、女人禁制の大峰山を前に、静は義経主従と別れねばならなかった。静は絶望の余り自殺を図る。が寸前、従って来た医者の麻鳥に救われた上、義経の子を宿していると教えられ、漸く生きる決心をした。都へ着いた静は役人に捕えられ義経の行方を追及された。責苦に耐えぬき鎌倉の母の許へ預けられたが、母は鎌倉方の権臣の愛人になれと勧めた。しかし彼女は義経の妻としての誇りを失わなかった。折から鎌倉八幡宮で幕府の前途を祝う祭。日本一の白拍子と謳われた静に社前で舞えと命令が下る。頼朝ら大名が見守るうちに静は舞いを始めた。が、その歌は義経を慕う歌。彼女の脳裡には雪の奥州路を落ちゆく義経の姿しかなかった。
静
源義経
百合野
源範頼
那須の与一
源頼朝
蓬子
政子
麻鳥
武蔵坊弁慶
佐藤忠信
新宮行家
大江広元
安達新三郎
梶原景時
横川覚範
一条能保
磯の禅尼
北条時政
高階泰経
土肥実平
実生坊
河越重頼
千丈坊
土佐坊昌俊
江戸十郎太
亀井六郎
伊勢三郎
男衾源次
片岡八郎
狭山
役人
吉野の村人(一)
鎌倉の武将(一)
地頭の家来(一)
雑色五郎
基通の家従六弥太
雑色弥七
鎌倉の武将(二)
吉野の村人(二)
護送の役人
鎌倉の武将(三)
取次の侍
雑色馬六
雑色治介
騎馬武者
源氏の兵士
吉野の村人(三)
地頭の家来(二)
前司の老母
義経の少年時代
静の少女時代
静の女童
監督
原作
製作
撮影
音楽
美術
照明
録音
企画
企画
脚色
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