市川右太衛門
白旗弓之助
国枝史郎の原作『銅銭会事変』を加藤泰が脚色し、「ふたり大名」の深田金之助が監督、「仇討崇禅寺馬場」の伊藤武夫が撮影した。主演は「股旅男八景 殿さま鴉」の市川右太衛門、「大菩薩峠(1957)」の大河内傳次郎、「緋ぼたん肌」の大川恵子、「怪談番町皿屋敷」の星美智子。ほかに、岩井半四郎、日高澄子、徳大寺伸、阿部九洲男、神田隆、岸井明、杉狂児など。東映スコープによる時代活劇篇。
天明六年三月十五日、江戸城中桔梗の間に新番四百石佐野善左衛門は時の老中田沼主殿頭意次に刃傷、意次にかすり傷を負わせた。執権職意次多年の悪政に対する死の抗議であった。大岡越前守以来の名奉行と噂の高い曲淵甲斐守、松平越中守の情けの取り計らいもむなしく、将軍家治は意次の娘津田の方の言葉を聞き入れ佐野一族の追討を命じた。刃傷の際長男意知を失った意次の専横は益々激しく己れの意に従わぬ甲斐守の失脚を計ると共に、白髪白髯の奇妙な老人を首領に持つ秘密結社銅銭会と結び幕閣転覆の陰謀に狂奔する。銅銭会の魔手は将軍家大奥にも延びお半の方に続いて新お部屋様として城中に召された四人の娘の中三人迄もその毒牙にかけ惨殺した。そして事件の場所には必ず紅蜥蜴の無気味な姿と怪しい胡弓の音が流れていた。お半の方の変死に激した家治は甲斐守に十日の猶予を与えて下手人捜索を厳命、甲斐守は生涯の苦境に立った。甲斐守の従兄弟である浪人白旗弓之助はこれを知るや気軽な浪人の身、側面から意次の身辺奇怪の老武士を始めとする銅銭会の探索に乗り出した。甲斐守と会った弓之助は互いの意見を交換した結果、奇妙な兵法茶碗陣を使う銅銭会を操る白髪白髯の老人こそ天一坊事件の立役者山内伊賀亮の変身であることを知る。その頃将軍家治は原因不明の病床に伏していた。意次の進める薬湯には毒があり日に日に衰弱する一方である。意次は将軍世継家斉を田沼邸に幽閉した。世継失踪に事態の切迫を知った甲斐守は急遽解決を策し銅銭会の本拠田沼邸から家斉を無事救出した。意次も最後の手段に出た夜中突然の総登城。大広間に集めた諸侯旗本を前に意次は御世縦家斉の失踪を報告、津田の方の娘蓉姫と己れの孫忠徳の婚姻を発表して新たに忠徳の世継を断行しようとする。必死に理非を説く松平越中守の苦心も空しく勝ち誇った意次は正面のふすまをさっと左右に押し開いた。と意外、家斉を守った曲淵甲斐守が厳然と姿を現わしたのだ。あっと驚く諸大名達の前に痛烈な甲斐の叱咤が飛ぶ。困難を極めた事件は次々と白日の下にさらされる。白髪白髯の怪老人も仮面をはがれ伊賀亮の正体を現わした。今はこれまでと雪崩れ込む銅銭会の面々田沼一味の狂刃、時に将軍家治病床からのお声掛りに勇気百倍した弓之助の活躍、遂に大悪は転覆した。--江戸の町へ我らの名奉行と騒ぐその中を今日も市中見廻りする曲淵甲斐守一行が行く。その群衆の背後を深編笠の白旗弓之助が飄々と去った。
白旗弓之助
お色
佐野菊絵
佐野善左衛門
松平越中守定信
山内伊賀之亮
田沼主殿頭意次
田沼山城守意知
田沼忠徳
徳川家治
津田の方
徳川蓉姫
徳川家斎
お半の方
桑原忠太夫
桑原萩乃
青木屋甚兵衛
青木屋おちか
青木屋お市
栗田桃庵
栗田桃庵妻
栗田志摩子
綾小路万里子
水野出羽守
太田備中守
松本伊豆守
松本対馬守
日向陶庵
若林敬順
大八木伝庵
朝顔小僧新助
からすの勘助
弁天夜叉丸
隆円
山口三太夫
安藤左衛門
合羽の音五郎
生田又助
須原市兵衛
大崎
滝川
高岳
露笛
清三郎
仙吉
土肥伝右衛門
愛知竹七郎
錦蓮
甲太
乙吉
お光
お春
意次の愛妾
剣客
剣客
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