萬屋錦之介
二六の長吉
「鳳城の花嫁」の中山文夫の脚本を「ゆうれい船」のコンビ、松田定次が監督、川崎新太郎が撮影した明朗時代劇。主演は、「ゆうれい船」の中村錦之助、「黄金の伏魔殿」の長谷川裕見子「若さま侍捕物帳 鮮血の人魚」の大川恵子、「水戸黄門(1957)」の桜町弘子。ほかに「青い海原」の春日八郎、それに大河内傳次郎、山茶花究など。
真昼の街道で、二六の長吉と髯の権次は女連れの武士から、まんまと八十両せしめた。岡ッ引の早縄の半五郎が駈けつけたときには、もうどこかに逃げてしまったあとだった。根は善人の二人は、宿で隣あったお初父娘の身売話をきいて、八十両全部やってしまう。一文なしの二人は得意の「二六の丁」でイカサマ博奕を打ち、しこたまもうけたのも束の間イカサマがばれそうになって、ほうほうの体で逃げだした。豪商近江屋の娘お美代は手代新助との仲をさかれて、女中のお清と家出をした。ところが街道で番頭の喜助に会い、附近の納屋に逃げこんだ。そこには半五郎に追われて、長吉と権次が隠れていた。その後、長吉は街道を通りかかった旅芸人の一座の中に、天城の山賊五郎丸一味がいることをみつけた。長吉たちは旅芸人の苦境を助けるために、山賊の本拠に乗りこんだ。そこにはお美代たち、シビレ薬をのまされた半五郎が捕えられていた。危機一発、長吉の活躍で無事にみんなを助け出すことが出来た。舞台は江戸へ--ある日、偶然に半五郎は新助と喜助が近江屋を乗っとる相談を耳にした。一方長吉と権次はカゴ屋をしていた。新助は相棒の喜助を殺し川につきおとして、一人で近江屋に帰って、お美代を強引にくどいた。そこに長吉が来あわせて、お美代を助け、半五郎は新助を喜助殺しで捕えた。今は長吉を慕うお美代の頼みもあり、長吉は父親の徳兵衛から、近江屋の後継ぎにと頼まれた。なんでも承知の半五郎は、笑顔でお美代と長吉を旅におくりだしてやった。その後からは権次とお清の一組もついていった。
二六の長吉
髯の権次
早縄の半五郎
近江屋徳兵衛
お美代
お清
新助
庄助
喜助
大野備後
お春
お島
お米
天城の五郎丸
熊八
弥次郎
黒助
三郎太
平九郎
女衒の弥七
吾平
飴屋の春吉
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