眼の壁
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眼の壁

1958年10月15日公開、95分、サスペンス・ミステリー
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松本清張のベスト・セラーを、「赤い陣羽織」の高岩肇が脚色、「黒い花粉」の大庭秀雄が監督したもので、パクリ屋の手形詐欺を発端として展開する推理映画。撮影は「彼岸花」の厚田雄春。「顔役(1958)」の佐田啓二、「昨日は昨日今日は今日」の朝丘雪路、さらに高野真二・渡辺文雄・宇佐美淳也らが出演するほか、テレビ俳優・鳳八千代が入社第一回作品として起用された。

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ストーリー

奥湯河原の山中で、昭和電業の会計課長・関野が縊死していた。--関野の部下・会計課次長の萩崎竜雄は、残された遺書から、関野の自殺が給料支払のための金融工作でパクリ屋一味の詐欺にかかって手形を奪われた責任をとったのだと知った。関野は堀口というパクリ屋を高利貸・山杉商事から紹介されていた。萩崎は客になりすまして、山杉商事を訪ねた。秘書の上崎絵津子という美人がいた。萩崎が見張っていると、絵津子は車で出かけ、荻窪の舟坂と表札のある邸に入った。萩崎は新聞社の友人・田村満吉を訪ね、舟坂英明が政界の黒幕的存在であることを知る。その愛人の開いている、銀座のバー“レッド・ムーン”で萩崎は田丸という男と知りった。その時、絵津子が白髪の紳士と現れた。彼らを追おうとした萩崎は、待ち伏せた暴漢に袋叩きになった。田村の調べで、例の老紳士が代議士の岩尾であることが判った。岩尾の名刺が詐欺の舞台になった東洋相互銀行の応接室借用に使われていた。岩尾は何も知らぬと云った。萩崎と田村は舟坂をも訪ねたが、山崎という事務長に追返された。萩崎は会社の顧問弁護士・瀬川から「危険なことに手を出すな」と警告された。深夜の青線で、“レッド・ムーン”のバーテン山本が田丸を射殺してしまった。萩崎は絵津子が羽田で人を送ったと知ると、乗客名簿を調べ、山本が名古屋へ飛んだことをつきとめる。殺された田丸は元刑事で、瀬川弁護士の法律事務所員だった。瀬川がそのお通夜の席から行方不明になり、中央アルプスの山中で、死体となって発見された。田丸と同じように、パクリ屋の正体をつきとめたために舟坂一味に消されたのだ。萩崎は山本を追って瑞穂の町へ来た。田村は二見ガ浦へ舟坂を追って行った。萩崎は瑞穂の郵便局に絵津子が現れたのと一足違いだった。彼女は山本のために舟坂の送金を受取りにきたらしかった。東京の彼女のアパートを訪ねた萩崎は、彼女を問いただし、挙句、二人は抱き合う。彼女は「探さないで」と云い残して去る。警察は拳銃の線から正攻法で犯人山本を割出した。萩崎は山本の故郷・長野の牧口村へ行く。戸籍を調べると、絵津子はどうも山本の妹らしい。山本が附近の沼で死体になっていた。警察は三カ月前の自殺と判断した。舟坂が伊勢から消えた。--萩崎は舟坂が山本・絵津子兄妹の従兄・高橋であり、山本を硫酸で溶かしたのだと推定した。兄妹は両親亡きあと、高橋に引きとられたのだ。萩崎は土地にある精神病院に高橋の幼友達を連れて行く。山崎が出て来て、舟坂は病気だと云った。が、幼友達が彼を舟坂その人と見破った。絵津子も来ていた。舟坂は逃げ、硫酸のタンクに飛びこみ、溶けてしまう。--萩崎と絵津子は再び結ばれた。

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作品データ

原題
The Invisible Wall
製作年
1958年
製作国
日本
初公開日
1958年10月15日
上映時間
95分
製作会社
松竹大船
ジャンル
サスペンス・ミステリー


[c]キネマ旬報社