梅野泰靖
戸田
太陽族の終点を描いたという石原慎太郎原作の映画化。「巨人と玩具」の白坂依志夫が脚色、「赤い波止場」の舛田利雄が監督した。撮影は「絶唱(1958)」の横山実。「夜の狼」の葉山良二・芦川いづみ、「絶唱(1958)」の小林旭、「続夫婦百景」の岡田眞澄らが出演する。
ストーリー
就職難にあえぐ多くの学生たちを尻目に、会社社長を父にもつ大木壮二は、事実上もう就職先も決り、だから就職試験の席でも臆する色なく、こう答えた。－－「いい家庭に育って就職先が決っている連中は勉強する必要もなく、太陽の下でやりたいことができます。しかし彼らとて一瞬太陽を拝んだだけで就職して大きな流れの中に入ると、そんなものは吹っ飛んでしまいます。抵抗はすべて遊戯にしかなりません……」－－すべて遊戯にしかならない……あの大きな犠牲を残した事件も遊戯にしか過ぎないのだ、壮二は、若いエネルギーと空白の時間をもて余していた過去を思い出した。－－壮二は仲間の秋谷、沖津、戸田と場外私設車券売りのかたりで金儲けの計画をめぐらした。ノミ屋といわれるこの商売は、客を引くためにレースがゴールインしてもまだ券を売っていること、ノミ屋の仲間が競輪場から結果を知らせてくれるまでに五分の時差があること、この二つを利用し、仲間の一人が競輪場に張込み、結果を逸早く私設売場の仲間に報せて当った券を買占めるという寸法である。こうして彼らは三十四万円を儲けた。が、ノミ屋には金の用意がなく、責任者の松居鉄太郎は二十万円だけを払い、残りは必ず渡すと約束した。しかし金は直ぐできるわけがなく業をにやした壮二たちは鉄太郎の妹京子を誘惑、借金の人質とした。鉄太郎が金をもってきた。が、京子はすでに秋谷と沖津の手ごめにあっていた。京子は家に帰った。そこには思いがけぬショックで死んだ病床の母があった。翌朝、母の死体と並んで京子の死体が発見された。睡眠剤をのんで自殺したのだ。いつか京子を好きになっていた壮二は、行きつけのバーで激しく、京子の死について詰問した。そこへ鉄太郎が飛び込んできて物も言わずに戸田をドスで刺した。鉄太郎は自首した。－－「君が非常にしっかりした青年だということが分った」という試験官の言葉に我に返った壮二は、のろのろと立上り、毎日が同じことの繰返しであるサラリーマンの流れの中に消えていった。
キャスト
小林旭
大木壮二
柳瀬志郎
秋谷
武藤章生
沖津
岡田眞澄
富田和
葉山良二
松居鉄太郎
芦川いづみ
松居京子
高野由美
鉄太郎の母
松本染升
虎吉親分
小泉郁之助
試験官
山本かほる
下宿の婆さん
白木マリ
モンシェリのママ
青木富夫
銀行の小使
渡のり子
デパートの女の子
神戸瓢介
酒屋の丁稚
杉幸彦
学生金貸し
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 原題
- The Tragedy of Today
- 製作年
- 1958年
- 製作国
- 日本
- 配給
- 日活
- 初公開日
- 1958年11月12日
- 上映時間
- 93分
- 製作会社
- 日活
[c]キネマ旬報社
PR
緊迫の撮影現場の舞台裏とは？豪華キャストたちの言葉で、本作の新たな側面をひも解く！
PR
成田凌ら実力派俳優が紡ぐ、つげ義春原作、片山慎三監督最新作の唯一無二な世界の魅力に迫る
PR
痛快、爽快…それだけじゃない！上田慎一郎が『カメラを止めるな！』公開前から温めてきた作品の真髄に迫る
PR
全米＆世界で大ヒット！映画ファンと識者がひも解く、1人の女性の決意に涙する理由とは？
PR
最高の環境で映画を。 “IMAX推し”作品を毎月アップデート
PR
韓国ドラマ「愛のあとにくるもの」での日本ロケ撮影を支援！ロケ地の魅力をたっぷりお届け
PR
『グラディエーター』24年ぶりの続編『グラディエーターII 』の注目ポイントをまとめて紹介
PR
プロジェクト情報を発信。お気に入り映画館を応援し、ミニシアターの魅力を再発見しよう！
PR
女性の活躍に注目する新部門も！豪華ラインナップの「第37回東京国際映画祭」の魅力をレポート
PR
映画好きなら、このためだけにも入会する価値アリな「Pontaパス」を知ろう！
"怖い"を楽しめる情報が充実！PRESS HORRORでもっとホラーが好きになる
