山形博一
ナリタ
多感な若者が傷ついて立ち直るまでを描いた作品。瀬戸慎吾監督の第1作。本作品は弱冠21歳の同監督の若い悩みから出発した、彼自信の成長の記録でもある。16ミリ。
日常の生活に疲れ、絶望したサラリーマンのナリタは海へバイクを走らせる。入水自殺しようとしたところ、彼は虚像とも実像とも知れないヨロイ姿の男に命を助けられる。そしてヨロイ姿の男は、病院に入ったナリタにつきまとって彼を励まし続ける。医者やその娘ユキに暖かく見守られるうち、ナリタは自ら生きる価値をつくり始める。立ち直ったナリタを見届けたヨロイ姿の男は「生きる場所があったなら、そこが心のあり処としよう」と言い残して去って行く。
[c]キネマ旬報社