静岡県浜松市に、デカセギの親と共に来日した日系ブラジル人の青年たちの実態をとらえたドキュメンタリー。2008年秋、突然の不況で職を失い、帰国することになった5人の若者たちの2年半を追う。共同監督は、「ハリヨの夏」の中村真夕、浜松学院大学教授で、日系ブラジル人の調査・教育支援を行っている津村公博。
ストーリー
2008年夏、浜松学院大学の津村公博が週末の夜に行っている調査に、テレビの取材でディレクターの中村真夕が同行する。デカセギ労働者の親たちと共に来日した子供たちは、外国籍のため義務教育対象外であり、多くは中学を卒業すると工場で働くか、なかには中学を中退して働く者もいる。土曜日の夜、そんな日系ブラジル人の若者が街にたむろしているのを見つけて、声をかける。19歳のエドアルドは、日本とブラジルを行ったり来たりしながら育った。日本の中学を中退し、16歳で工場勤務を始める。工場で働いても何も学ばないし、未来もない、自分のようにならないでほしいと親に言われた彼は、ブラジル人の中学生のための進学教室で英語を学び始めるが、不況で工場の仕事を失う。一時は帰国も考えたが、もう一度、日本でやり直すチャンスを手にする。15歳の少女・パウラは日本で生まれ、ブラジルに行ったことはない。中卒で働いていたが、家族とともに帰国することになる。ブラジルに行っても恋人との関係を続けようとする彼女に、試練が訪れる。19歳のユリは車上荒らしで捕まり、1年間少年院に入っていた。出所後数週間で、裏切り続けた父との和解のために帰国を決意する。22歳のコカはデカセギ青年たちのダンスチーム“フロワーモンスターズ”のリーダーを務めている。地元で有名になった彼だったが、不況で仕事を失い、メンバーにグループを託して、家族とともに帰国する。数ヶ月後、チームは解散寸前に追い込まれていたが、元リーダーのオタビオが戻ってくる。しかしまた数ヶ月後、今度はオタビオが帰国することに……。