オルガ・キュリレンコ
アーニャ
チェルノブイリの隣町プリピャチを舞台に、原発事故の悲劇を描く人間ドラマ。立入制限区域で初めて撮影された劇映画。監督は、本作が初の長編劇映画となるミハル・ボガニム。出演は、「007/慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、「カティンの森」のアンジェイ・ヒラ。第68回ヴェネチア国際映画祭批評家週間出品作品。
4月26日、雨のプリピャチ。森林警備隊隊員のニコライ(ヴァチェスラフ・スランコ)は、葉が赤く変色したブナの木に異変を覚える。遊園地ではアーニャ(オルガ・キュリレンコ)と消防士のピョートル(ニキータ・エムシャノフ)の結婚式が行われていた。森林火災の報を受け、ピョートルは現場に直行する。夕刻、原発技師アレクセイ(アンジェイ・ヒラ)は原発事故を知らせる電話を受け、息子ヴァレリーと妻を街から避難させる。夜、アーニャと仲間たちは、発電所から立ち上る白煙を眺める。ピョートルは戻ってこなかった。27日朝、白い防護服を着た乗組員を乗せたヘリがやって来て、農民に退去を命じ、丸太小屋を除染し、家畜舎に火を放つ。アレクセイが街の肉屋の肉を計測器で調べると、高い放射線量が測定される。買物客に小声で忠告するが、誰も聞く耳を持たない。やがて雨が降り出す。アレクセイは傘を買い込んで人々に配る。アーニャはピョートルが搬送された病院へ行くが、夫は大量の放射線を浴びてモスクワに搬送されたと看護婦から告げられる。28日、軍が街に大挙し、住民は私物の持ち出しも禁止され、強制退去を強いられる。アレクセイは発電所近くで姿を消す。10年後、事故が起きた4号炉は、“石棺”と呼ばれるコンクリートの建造物で覆われている。30キロ圏内は立入制限区域となったが、実際は作業員や軍関係者、一部の住民が移住せずに生活を続けていた。アーニャは母とスラブティチに住んでいるが、月の半分は観光ガイドをしながらプリピャチで暮らしている。アーニャの体は変調をきたしていた。婚約者からフランスで暮らそうと誘われるが、夫の友人で“石棺”で働くディミトリ(セルゲイ・ストレルニコフ)に引き止められる。ヴァレリーと母親はアレクセイを弔うために、10年ぶりにプリピャチを訪れる。父の死を信じていないヴァレリーは街で手がかりを探すが、何も見つからないまま、警備隊によって強制退去させられる。そのころ、アレクセイは列車でプリピャチへ向かっていた……。
アーニャ
アレクセイ
ヴァレリー(16歳)
ディミトリ
ニコライ
パトリック
ピョートル
アーニャの母
カリーネ
監督、脚本
脚本
脚本、編集
製作
製作
撮影
撮影
音楽
編集
編集
録音
[c] 2011 Les Films du Poissons
[c]キネマ旬報社