監督、撮影、編集、構成、制作
チベットの世界最長の英雄叙事詩『ケサル大王伝』に登場する“ケサル大王”を追ったドキュメンタリー。山の家で暮らす語り部や冬の寺の舞踏劇、末裔を名乗る男たちの競馬、伝統絵画を取材しながら、“ケサル大王”の物語に迫る。ナレーションは、TVアニメ『キャッツ・アイ』や「天空の城ラピュタ」の安原義人。2011年に全編字幕版として一度完成、11月26日に秩父神社で初上映された。2012年12月14日に東京・渋谷オーディトリウム渋谷にて、新たにナレーション録音と整音を行った新バージョン(115分)を上映。
ストーリー
チベット古代統一王朝“吐藩”崩壊後の11世紀、群雄割拠の中で仏教国の王をモデルにチベット再統一と仏教布教を託して作られた『ケサル大王伝』。東チベットの草原の民の理想と願いを、代々語り部たちが受け継ぎ、創りあげて、世界最長の英雄叙事詩となっていった。冬の山の家で暮らす神秘的な語り部。ゾクチェン寺の正月の壮麗な“僧侶百人ケサル仮面舞踏”、夏のリタンのアクロバティックな“地方競馬大会”、そして叙事詩を千枚のタンカ(伝統絵画)に残す壮大なプロジェクトの現場を取材。民族の誇りを託されたケサル大王の物語に迫っていく。一方で、ケサルの聖なる山では、地球温暖化と地下資源の大開発などで環境破壊が進み、牧畜民が草原から追い立てられている現実をカメラが捉える。そんな中、チベット仏教の高僧は“大地の守り神”としてケサルの力に頼り、“旗の仏塔”を建立、祈願する祭儀を執り行うのだった……。