六代目中村歌右衛門
斑女の前
第四期歌舞伎座の公演を映画館で上映する“シネマ歌舞伎クラシック”第一部。息子をさらわれて狂女となった母の心情を、繊細な演技で描き出す松羽目物。海外でも度々披露された六代目中村歌右衛門の代表作のひとつ。十七代目中村勘三郎が息の合った舟人役をつとめ、清元志寿太夫の語りが哀しみを誘う。1981年1月上演。
息子をさらわれ狂女となった班女の前(六代目中村歌右衛門)は、我が子を訪ねて東国までやってくる。彼女が隅田川の渡し船に乗ると、対岸で大念仏を行う人々が見える。舟人(十七代目中村勘三郎)によれば、行き倒れた幼子の命日に回向を手向けていると言う……。
[c]キネマ旬報社