イギリスの生物物理学者ジェームズ・ラブロック博士の唱えるガイア理論“地球はそれ自体がひとつの生命体である”という考え方に基づき、龍村仁が全作を監督するドキュメンタリーシリーズ第8弾。日本人の中にかすかな残響波として今も響き続けている樹の精霊の声(宇宙の声)を聴く力を甦らせようとする人々の想いと活動を映し出す。
ストーリー
〈樹の精霊に出会う〉奈良県吉野にある天河大辧財天社の宝物庫には、600年間眠り続けてきた能面「阿古父尉」が納められている。それは天才的能役者・観世流三代目元雅が都を追われ、万感の想いを込めて天河神社の能舞台で舞い、自らの手で奉納したものであった。この「阿古父尉」に訪れた復活の時。能面を削り出す老大樹には、未だ姿形を持たない無数の能面=樹の精霊が潜み、その能面のひとつを匠が磨き抜かれた手技と祈りによって、目に見える世界へと導き出す。能面をつけた演者が舞台に立つ時、演者に乗り移った“宇宙の意志”は時空を越えた幽玄の世界へと人々を誘う……。〈樹の精霊の声を聴く〉17世紀に活躍した天才的なヴァイオリン製作者、アントニオ・ストラディヴァリが作った名器“ストラディヴァリウス”は、なぜ現役の名器として生き続けているのか。世界の名演奏家たちが愛器の修復や調整を依頼するヴァイオリン製作者の中澤宗幸は「ストラドは単なる楽器(モノ)ではない。魂を宿した有機体、すなわち生き物なのだ。生き物である限り身体は必ず老いていくが、魂=樹の精霊は歴代の名演奏家たちが奏でた音魂を記憶し続けている」と語る。東日本大震災後、中澤は津波で流された楓と松を用いて“津波ヴァイオリン”を作り、そのヴァイオリンによるコンサートで“樹の精霊の歌”が響き渡る……。〈心に樹を植える〉高度成長期、牡蠣養殖業を営む畠山重篤は、気仙沼の青い海が赤く濁り始めた原因が海から遠く離れた室根山の森の荒廃にあると気付き、その後始めた植林運動により気仙沼の海は青さを取り戻していく。だが東日本大震災の大津波が気仙沼を襲い牡蠣は全滅、海から全ての生きものが姿を消した。海の汚れの原因が森の荒廃にあると気付いた背景には、室根山にある室根神社の存在があった。室根神社では、4年に一度大祭が行われている。気仙沼の海の民が夜明け前の海で海水を汲み、室根神社へ運び、その御神水で御神体を浄め、そこから祭りが始まるのだ。震災後初めて行われた平成25年の大祭で、畠山はその大役を担う……。
スタッフ
監督、脚本
龍村仁
撮影
赤平勉
HD編集
吉田愛
MA
津田秀樹
録音
上保好則
録音
小宮芳憲
音響効果
中村充
助監督
池田剛
ラインプロデューサー
西嶋航司
制作プロデューサー
恩田映三
エグゼクティブアドバイザー
龍村ゆかり
撮影コーディネイト
Bernard Morales
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 映倫区分
- G
- 製作年
- 2015年
- 製作国
- 日本
- 配給
- 龍村仁事務所(配給協力 太秦)
- 初公開日
- 2015年3月21日
- 上映時間
- 115分
- 製作会社
- (企画製作 龍村仁事務所)
- ジャンル
- ドキュメンタリー
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