中島広稀
コマツジュンペイ
1980年にも映画化された青柳裕介のコミック『土佐の一本釣り』を、21世紀の現代に舞台を置き換えて再映画化。故郷の土佐に帰ってきた若者が、カツオ漁師として成長してゆく姿を、幼なじみの女性との恋を交えて描く。出演は「渇き。」の中島広稀。監督は「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」の蔵方政俊。
甲子園を目指して野球に打ち込んでいた小松純平(中島広稀)は、暴力事件を起こして高校を退学になり、失意のまま故郷・土佐の久礼へ帰って来る。純平は2つ年上の幼なじみ、吉村八千代(森永沙良)に想いを寄せていたが、八千代の父、千代亀は2人の交際に反対する。千代亀は、亡き純平の父と土佐で1、2を争う伝説のカツオ漁師だった。そんな時、地元の酒蔵の息子で県庁に勤める西岡徹が久礼の町に派遣されて来る。八千代と組んで町おこしを始める徹に、敵対心を燃やす純平。だが、純平は元漁師の権左じぃ、兄貴分の勝、女手ひとつで自分を育ててくれた母フキとの生活を通じて、今の自分が何者でもない、ただの半端者だということに気づいてゆく。やがて、男が命がけで生きるとはどういうことかを真剣に考え始める純平。八千代に対する想いは募るばかりだが、気持ちとは裏腹に、2人はすれ違ってゆく。そんなある日、純平は千代亀や徹への対抗心から八千代に結婚を申し込むが、“そんな純平は嫌いやき”とあっさり玉砕。だが2人は、失いかけて初めて互いが必要な存在だったことに気づく。やがて、漁師町で夫婦になるために力を合わせ始める純平と八千代。純平は亡き父の後を追って漁師になることを決意。八千代はそんな純平に寄り添っていこうと心を決める。そんな2人の前に立ちはだかるのは、八千代の父、千代亀。太平洋を望む小さな町で、純平と八千代の運命が交錯する……。
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