遠山陽一
能勢雄一郎
老老介護の果てに、思い出の湖畔で心中を図った夫婦の姿を、一切のセリフを排して綴ったドラマ。長年に渡る妻への介護生活の果てに自らの体を患った夫は、頼る当てもなく、世間との交流も蓄えも持たないことから、次第に生きる力を枯渇させてゆく……。出演は、故・蜷川幸雄の下、55歳以上のメンバーで構成された演劇集団“さいたまゴールド・シアター”の遠山陽一と百元夏繪。
夫は長年に渡る妻への介護生活の果てに自らの体を患い、妻よりも命の燈火が少ない事を知る。頼る宛てもなく、世間との交流も蓄えも持たない夫は、ひとり出口を失っていく。老老介護の現実は厳しく、次第に生きる力を枯渇させてゆく夫。彼が最後に求めたのは、部屋に飾られた一枚の旅行写真。そこに写っていたのは、かつて森の湖畔で撮影したスナップ写真に象徴される妻と自分の笑顔だった……。
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