かつては栄華を極めながら今は朽ち果てた町、ジョージア共和国チアトゥラのドキュメンタリー。20世紀初頭にはマンガン鉱山により栄え、巨額の投資が行われたチアトゥラ。その後、資源の枯渇によってゴーストタウンと化した町で生きる人々の憂いを映し出す。監督は、ジョージアのトビリシ出身で、本作が長編監督デビューとなるラティ・オネリ。
ストーリー
ジョージア共和国西に位置する町チアトゥラは、20世紀初頭には世界で消費される50%のマンガンを産出し、産業の中心地として栄えた。ソヴィエト連邦が構成されると、理想郷、そして未来都市の象徴として巨額の投資が行われ、劇場、大学、コンサートホール、スタジアム、公園が建設され、世界初かつ最大のケーブルカー交通網が整備された。しかしソヴィエト連邦の解体とマンガンの枯渇によって衰退の一途をたどり、1989年にはおよそ3万人だった人口は、2008年には1万9千人ほどまで落ち込んでいる。音楽教師のズラブは家族を養うため、放棄された町の建築物を破壊し、鉄屑を売り始める。崩落事故で仲間を亡くしたばかりのアルチルは、演劇に身を捧げるか、危険を伴う鉱夫として働くかの選択に迷っている。アスリートのマリアムとイリアは町の財政難により満足な援助を得られず、痩せ細っているが、オリンピックを目指して走り続ける。置き去りにされた町で生きる人々の憂いに沈んだ思いを、静謐な風景になかに描き出す。