村上虹郎
岩松翔太
小泉今日子らが設立した制作会社・新世界合同会社の第1回プロデュース作品。役者を目指して上京した岩松翔太は、演劇を教えるため、海辺の街の高齢者施設を訪れる。だが、ある事件をきっかけに、そこで出会った山下タカラと先の見えない逃避行に出ることに。出演は「楽園」の村上虹郎、「あの群青の向こうへ」の芋生悠。監督は、新世界合同会社の設立メンバーでもある外山文治(「燦燦 -さんさん-」)。
※結末の記載を含むものもあります。
役者を目指して上京した岩松翔太(村上虹郎)は、ある時、生まれ育った海辺の街の高齢者施設で演劇を教えることになる。だが、ある事件をきっかけに、その施設で出会った山下タカラ(芋生悠)と共に先の見えない逃避行に出ることに……。
[c]2020ソワレフィルムパートナーズ [c]キネマ旬報社
役者を目指す若者と親に性的虐待を受けて育った、心に傷を持つ少女との偶然の出会いと逃避行がメインストーリーのようではあるが、なんか物語の展開がはっきりせず、焦点のボケた印象は拭えない。表面の動きだけではなく、もっと内面の描写や社会との葛藤が描かれていると良かった。
村上虹郎と芋生悠。 特に村上虹郎の、どこかすれっからしだけど芯は優しくて色香のある表情。 芋生悠は淡々としながらも、シーンが進むにつれ奥底に隠していた感情を切なくも、時にだらしなく、時に怒りの先端を表現していた。 最後の最後、ある事に気づいてしまったときの彼の感情が、あえて音を消したことでスクリーン越しに私の心にも迫ってきた。このシーンのために全てがある、位の無音の迫力は劇場じゃないと体感しづらいかも。 たまに入る何気ないカットもきれいだった。 すべてに意味が込められていることに、最後気づいた。 そう、この映画は説明しきらないから、見ている側が気づける面白味がある。