ピエール・ニネ
Roman Kacew
仏の文豪ロマン・ガリの自伝『夜明けの約束』を映画化。シングルマザーのニーナは息子ロマンが軍で功績を上げて、大作家になると信じていた。ついにロマンはパイロットとして活躍し、小説も出版されるが、母からの手紙には作家デビューを喜ぶ様子はなかった。出演は、「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネ、「アンチクライスト」のシャルロット・ゲンズブール。監督・脚本は、「ラスト・ダイヤモンド 華麗なる罠」のエリック・バルビエ。セザール賞4部門ノミネート作品。
※結末の記載を含むものもあります。
思い込みが激しく負けん気の強いシングルマザーのニーナ(シャルロット・ゲンズブール)は、息子のロマン(ピエール・ニネ)がフランス軍で勲章を受けて外交官になり、大作家になると信じて、命懸けでその才能を引き出そうとしていた。ロマンはそんな母とともに、ロシア、ポーランド、ニースに移り住み、その溺愛の重圧にあえぎながらも、幼いころに母と交わした約束を果たそうと、努力を惜しまなくなっていく。自由フランス軍に身を投じ、病気で生死の境目を漂うロマンのもとにも、ニーナは激励の手紙を送り続けた。ついにロマンはパイロットとして活躍し、念願の小説も出版されることになる。ところが、相変わらず届き続けるニーナの手紙には、なぜか息子の作家デビューを喜ぶ様子はなかった……。
Roman Kacew
Nina Kacew
Alex Gubernatis
Zaremba
Lesley Blanch
Capitaine Langer
[c]キネマ旬報社
まるで映画のような人生。実在し、こうして映画化になった、なんて驚き。イタリアのマンマと息子のようではないけれど、フランスにも母息子、ものすごい絆。息子の将来は成功であると信じて疑わない。母親の勘とでも言うか。母自身も相当なやり手である。当時、移民であるに関わらず、今なら女社長として相当な人物になったであろう。 戦時中、移民であることで苦汁をなめるがいやはや、どうして、運をがっしり掴んだな。文才も書き続けた成果が花開く。あれよあれよの勇姿に母おらず。最後まで弱い所を見せなかったなぁ。彼女の瞳の奥は「闘志」という炎が燃え続け音を立てずに果てた。彼自身は自殺してしまったが、書置きの文面からきっと母は天国で彼を大いに抱きしめたはずだ。
『母との約束、250通の手紙』#素晴らしいですね。ナチスとフランスと母親、これらが何度も絡み合って徐々に結合し、そして分散してしまう儚い作品となっていました。母親の偉大さと醜さを素直に表現した素晴らしい作品です。