中村倫也
7人の僕
「屍人荘の殺人」の中村倫也が『映像作家100人2019』に選出された吉野耕平監督と組み、曜日ごとに入れ替わる7つの人格を持つ男を演じたサスペンス。7つの人格のうち“水曜日”の人格が消え、一番地味な人格“火曜日”は来るはずのない水曜日の朝を迎える。オムニバス「スクラップスクラッパー」内の「ファミリー」などを手がけ、「君の名は。」ではCGクリエイターを務めた吉野耕平が監督・脚本・VFXを担当。ドラマ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』の石橋菜津美が“7 人の僕”を知る元同級生・一ノ瀬を、「パンとバスと2度目のハツコイ」の深川麻衣が図書館司書の瑞野を、バンド『ゲスの極み乙女。』でベースを担当する休日課長が“月曜日”の友人・高橋を、バイプレイヤーとして活躍するきたろうが医師・安藤を演じる。
※結末の記載を含むものもあります。
幼い頃に交通事故に遭った後遺症で、一人の身体の内側で性格も個性も異なる7つの人格が曜日ごとに入れ替わるようになる。彼らは互いをそれぞれが目覚める曜日の名前で呼び合い、不便さはあるものの、平穏に暮らしていた。“火曜日”は彼ら7人の中で一番地味な存在で、家の掃除や荷物の受け取り、通院などの用事を他の曜日から押し付けられる損な役回りばかり。そんな彼がいつも通り単調な一日を終え眠りにつき、目を覚ましたところ、違和感を覚える。テレビからは見慣れない番組が流れ、緑道の音楽は初めて聞くものであり、いつもとは違う様子。“水曜日”が消え、代わりに“火曜日”が水曜日に目を覚ましたようだった。 “火曜日”は初めての水曜日を謳歌するものの、やがて日常が驚きと恐怖に変化し……。
監督、脚本、VFX
音楽
撮影
照明
美術
録音
編集
音響効果
テーマソング
製作
製作
エグゼクティブプロデューサー
エグゼクティブプロデューサー
企画・プロデュース
企画・プロデュース
プロデューサー
音楽プロデューサー
CG、VFX
衣装
ヘアメイク
スクリプター
助監督
制作担当
[c]2020『水曜日が消えた』製作委員会 [c]キネマ旬報社
構えずにゆったり観ることができる作品。それでいてとても味わい深い。 象徴的なシーンや哲学的要素があり、見終わったあと、あれは・・・と、ぼんやり考える時間が楽しかった。穏やかな余韻。 7人それぞれの個性あふれるキャッチーさや、淡い色彩、音楽が作品に彩りを添えていて、それもまた良かった。劇中で流れる曲や、主題歌Albaはとても印象に残る。 エンドロールまで遊びごころ満載なので、最後までお楽しみに。
【賛否両論チェック】 賛:1つの人生を、7つの人格が曜日ごとに分け合う主人公を通して、明日目を覚ますことの尊さが、思わず身に染みる。その身体に異変が起きた時、主人公(達)が下す最後の決断にも、観ていて感慨深いものがある。 否:展開はかなり淡々としていて、似たような描写も多いので、惹かれないと思わず眠くなってしまいそう。 劇中で数馬自身も語っていましたが、確かに1週間のうちの同じ曜日しか生きられなかったとしたら、人生は普通の人の7分の1になってしまいますし、曜日が一緒なら文字通り同じ毎日の繰り返しですよね。そう考えると、たとえ平凡だったとしても、明日の朝に目を覚ますことが出来るというのは、本当に奇跡なんだなと改めて痛感させられるようです。 そんな彼らの中で、次第に異変が起こり始めた時、これまで真面目で退屈だった“火曜日”が、自分を変えるためにどんな選択をしていくのか、その行方からも目が離せなくなっていきます。 「この身体は不便だよ。だけど・・・不幸だった訳じゃない。」 という数馬の言葉が、なんだか心に染みます。また、エンドロールの7人の付箋でのやり取りなんかも、遊び心があってクスッと笑ってしまいました(笑)。 ただ難点をいうと、やはりどうしても似たようなシーンが多く、かつ物語も非常に淡々と静かに進んでいくので、人によっては観ていて退屈して、思わず眠くなってしまうかも知れません。どちらかというと、小説みたいな内容が好きな方向けの、文学的な作品といえそうです。
1人で7人格なんて、もっと解りづらいのかと思って覚悟してみていたら、そんなことなくて、1人ずつがそれぞれ1人の人って感じで、すっと入ってきましたし、共感も出来ました。事故のときの映像とモチーフがわかりやすくて、落ち着いて見れました。見終わってからじんわりと、もう一度見たくなる映画です。
エンドロールまで全て観終わった後、『彼ら』への愛おしさが募って、またすぐに、何度でも観たくなる映画でした。また観に行きたいと思います。これからご覧になる方、絶対にエンドロールまでお見逃しなく…!