シンシア・エリヴォ
ハリエット・タブマン / ミンテイ
実在の奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの激動の人生を活写するヒューマンドラマ。1849年アメリカ。ブローダス農場の奴隷ミンティは、幼い頃から過酷な労働を強いられていた。ある日、ミンティは借金の肩代わりに売りに出されそうになり、脱走を決意する。出演は、本作で第92回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたシンシア・エリヴォ、「オリエント急行殺人事件」のレスリー・オドム・Jr、「ドリーム」のジャネール・モネイ。監督は『クリスマスの贈り物』のケイシー・レモンズ。
※結末の記載を含むものもあります。
1849年、アメリカ・メリーランド州ドーチェスター郡。ブローダス一族が所有する農園の奴隷として、幼い頃から過酷な生活を強いられている“ミンティ”ことアラミンタ・ロス(シンシア・エリヴォ)。彼女の願いはただ1つ、いつの日か自由の身となって家族と共に人間らしい生活を送ることであった。そんなある日、奴隷主のエドワード・ブローダス(マイケル・マランド)が急死。借金返済に迫られたエドワードの妻エリザと跡取り息子のギデオン(ジョー・オルウィン)は、ミンティを売りに出す。遠く離れた南部に売り渡されたら、もう二度と家族には会えず、お互いの消息すらわからなくなってしまう。悲運を察知したミンティは、農園から脱走。神の導きと夜空に輝く北極星だけを頼りに、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州を目指すのだった。執拗に追いかけてくるギデオンからなんとか逃げ切ったミンティは、州境を越え、フィラデルフィアの反奴隷制協会にたどり着く。そこで奴隷制度廃止運動家ウィリアム・スティル(レスリー・オドム・Jr)と運命的な出会いを果たし、ミンティはハリエット・タブマンという新しい名で自由な一市民として新たな人生を歩み始めるのだった。だが、いまだに夫のジョン(ザッカリー・モモ)や、奴隷として酷使され続けている家族と離れ離れのままでいる状況に苦しみ続けていた。脱走奴隷であることが露見すれば自由どころか命さえ失いかねない危険な状況だったが、ハリエットは愛する家族を救出するためにメリーランド州に戻ることを決意。やがて、奴隷制度廃止運動家たちの秘密組織“地下鉄道(アンダーグラウンド・レールロード)”の一員となったハリエットは、奴隷の逃亡を手助けする“車掌”として働き始める。そんななか、逃亡奴隷法が制定、奴隷主たちに州外に逃れた元奴隷たちを連れ戻す権利が認められる。ギデオンや懸賞金稼ぎの奴隷ハンターたちに追われるなか、ハリエットは果敢にも幾度となくメリーランド州に舞い戻り、数多くの奴隷たちを自由の地へと導いていく。いつしか彼女は、ユダヤの民を率いてエジプトから脱出したモーセになぞらえ、“黒人たちのモーセ”と呼ばれる存在となっていた……。
ハリエット・タブマン / ミンテイ
ウィリアム・スティル
ギデオン・ブローダス
マリー・ブキャナン
ジョン・タブマン
エリザ・ブローダス
リット・ロス
ベン・ロス
ビガー・ロング
ウォルター
監督、脚本
製作、原案、脚本
製作
製作
製作総指揮
製作総指揮
製作総指揮
製作総指揮
製作総指揮
製作総指揮
製作総指揮
撮影
美術
衣装
編集
音楽
製作総指揮
製作総指揮
[c]Universal Pictures [c]2019 Focus Features LLC. [c]キネマ旬報社
【賛否両論チェック】 賛:奴隷だった1人の女性が、奴隷解放運動の最前線で戦うまでになる様を通して、自身が当事者だったからこそ持てたその意志の強さに、観ていて頭が下がるよう。 否:宗教色が強いので、その辺りの好き嫌いは分かれそう。 凄惨な時代の、奴隷解放運動を扱った本作。前半ではヒロインのミンティが、自らの意志と執念で、困難を極めたペンシルベニア州への脱出を成し遂げていく姿に、観ている側も同じ目線でハラハラさせられるようです。 そして後半では、“ハリエット・タブマン”という新しい名前を手に入れたミンティが、決して現状に甘んじることなく、奴隷救出に挑み続けていく姿が、とても雄々しく映ります。自身も奴隷として苦しんだ当事者だからこそ、どれだけ周りから反対されても、最後まで先陣を切って戦い続けることが出来たのだと、その志の高さに頭が下がる想いがします。協力者達を前にした演説のシーンなんかは、すごく胸に染みました。 ただ、ミンティが要所要所で神からの啓示というか予知夢というか、そういったものを受ける演出があったりと、宗教色は少し強めですので、その辺りの好き嫌いはどうしても分かれそうなところではあります。 とはいうものの、人間の意志の強さを改めて実感させられる、そんな作品ですので、是非ご覧になってみて下さい。
オバマ政権下で新20ドル紙幣の肖像に選ばれた、アフリカ系女性の奴隷解放運動家ハリエット・タブマンを描いた伝記映画。 冒頭から、いきなりのオカルト展開。 タイミング的にたまたま今の黒人差別に対するデモと合致してしまったが、差別や解放がテーマではなく。 ジャンヌ・ダルク的なヒロイン像を魅せるため、神秘性を重視した方向の作り。 観客サイド(特にアメリカ人)は「後に南北戦争で看護婦、スパイを経て、アメリカ史上初の女性指揮官として兵士を動かし、南軍側の奴隷750人を助けた」という史実を知っている。 そのため、作り手は「奴隷の所有白人たちに捕まるかどうか」というあたりに、緊迫したクライマックスを持ってこれなかったので、キャラに振ったのだと思った。 それと、ある種のミュージカルでもある。 アカペラのソウルナンバーを主体にした。 なので、キャラを立たせるという点に特化しているのもわかる。 それ故に、話がとっちらかり、飛躍し、盛り過ぎ感が出ていた。 ストーリー主体の観方をすると、共感もしにくくなり、面白味も減っちゃった感じ。 ミュージカルとして観た方がいい。 ところで、あの白人至上主義者たち支持するトランプの政権になって、新紙幣の話が有耶無耶になっているっぽく、本当に彼女の肖像が使われるかが不透明に。 このことこそが、本作が映画になった理由かもしれません。
今、アメリカでは人種差別の問題が大きくなっている最中、 この問題の根本である黒人の奴隷に関する物語であり、 奴隷解放に尽力した実在の女性のドラマです。 自由か死かを選択する究極の状況で 自分の命のみならず、たくさんの仲間の命をも救い出す、 すごく心の強い黒人女性でした。 ハリエット役のシンシア・エリヴォの力強い歌声は 勇気を奮い立たせる心強いものでした。