藤沢周平による同名短篇小説を仲代達矢主演で映像化。若かりし頃、訳あって木曾福島を出奔した宇之吉は、流浪の旅を続け、病に倒れた旅の空で見た風景に故郷への思いを馳せる。老い先を悟った宇之吉は、寄る辺なき帰郷を果たすが、そこに守るべき存在を見出す。共演は「だれかの木琴」の常盤貴子、「羊の木」の北村一輝、「散り椿」の緒形直人。監督は「最後の忠臣蔵」の杉田直道。第32回(2019)東京国際映画祭特別上映作品。
ストーリー
信州・木曾福島に向かって、ひとり歩く無宿渡世姿の旅人・宇之吉(仲代達矢)。かつては木曾福島を縄張りとする博奕打ちだったが、親分の罪を被り江戸に身を寄せていた。だが世話になった相州屋清五郎の妻・おとし(田中美里)と道ならぬ仲になり、清五郎を殺し、おとしと江戸を出奔。以来30年余りの歳月が流れた……。そんなある日、病に倒れた先で見た風景が心を抉り、老い先を思い故郷に歩みを進める宇之吉。やがて故郷に辿り着いた宇之吉が、町を歩いていると斬り合いに遭遇する。野獣のように、隙がなく獰猛な動きを示している男がひとり、十人を超える男たちを相手にしていた。その男、源太(緒形直人)を追い詰める男たちは、宇之吉のかつての兄貴分である九蔵(中村敦夫)の手下たちだった。川に飛び込み難を逃れる源太の姿に、宇之吉はかつての自分の姿を重ねる……。ある日、宇之吉は渡世人仲間の栄次(佐藤二朗)と行った飲み屋で、おくみ(常盤貴子)という女と出会う。栄次から、おくみと源太は好いた仲だが、かねてからおくみに目を付けていた九蔵が、二人の仲を引き裂こうと執拗に嫌がらせを重ね、ついに源太が九蔵に斬りつけ、追われる身となってしまったと知らされる。そして神社で行われる山博奕の日、宇之吉は幼なじみの佐一(橋爪功)と再会、衝撃の事実を耳にする……。
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作品データ
[c]「帰郷」時代劇パートナーズ
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