福島第一原子力発電所から約20kmに位置し、東日本大震災に伴う原発事故直後から全町避難を余儀なくされ、東京電力や自衛隊の前線基地となった福島県双葉郡広野町。事故から6年後、本格的な帰還が始まる同地域の現状や人々の営みを記録したドキュメンタリー。監督は、「ドコニモイケナイ」で2012年度日本映画監督協会新人賞を受賞した島田隆一。復興五輪を掲げる2020年東京オリンピックの聖火リレーがスタートする地点である広野町より、本当の復興とは何か問いかける。第11回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭アジアコンペティション出品。山形国際ドキュメンタリー映画祭2019 ともにある Cinema with Us上映作品。
ストーリー
福島第一原子力発電所から20kmほどの場所に位置する福島県双葉郡広野町は、東日本大震災に伴う原発事故発生直後から全町避難を余儀なくされ、東京電力や自衛隊の前線基地となった。東日本大震災および原発事故から6年が経ち、全町避難となっていた広野町はインフラの復旧や除染が進み、本格的な帰還が始まっていた。今では町民の約半数を原発事故後の廃炉・除染作業従事者が占めている。いわき市の仮設住宅も2017年3月末には完全閉鎖が決定し、広野町民は町への帰還か自主避難かの選択を迫られていた。原発事故の被災地で消防士の仕事を続けながら子育てをする人、農業を再開した人、福島第一原発の廃炉作業のために広野にやってきた人、町の古い伝統行事である『たんたんぺろぺろ』という祭りを再開しようと呼びかける広野町の町政、この土地で新たに生まれすくすくと育っていく子どもたち、被災体験をモチーフに演劇をつくりあげる高校生たち、……。復興五輪を掲げる2020年東京オリンピックの聖火リレーは、この町からスタートする。華やかでシンボリックなセレモニーの後景で、こつこつと日々の暮らしを築いていく人々。本当の復興とは何か。言葉にできないその答えを、そっと映し出す。