監督、撮影、編集
第二次世界大戦中、ブラジルで起きた日系移民強制退去事件の真相に迫るドキュメンタリー。1943年7月、高まるナショナリズムを背景に、南東部の港町サントスで日系・ドイツ系移民に退去命令が下される。長らくタブーとされてきたこの事件の真相とは。監督は「花と兵隊」、「祭の馬」の松林要樹。
ストーリー
第二次世界大戦前夜から戦中のブラジル。高まるナショナリズムを背景に、ヴァルガス独裁政権は約20万人の日系移民に対して日本語新聞の廃刊、日本語学校の閉鎖、公の場での日本語の使用禁止などを命じた。そして1943年7月8日、事件は起きる。南東部の港町サントスで暮らす日系とドイツ系の移民に、24時間以内の退去命令が下されたのだ。家財や土地を残したまま、ある者は収容所へ送られ、ある者は家族と生き別れ、コミュニティは離散。しかし、戦後70年以上の長きに渡ってこの“日系移民強制退去事件”はタブーとされ、悲惨な出来事がブラジルの日系人社会で公に語られることはなかった。なぜ人々は口を閉ざし続けてきたのか? 一体何が起きていたのか? 「花と兵隊」で戦後もタイ・ビルマに留まった未帰還兵たちの今に迫ったドキュメンタリー監督の松林要樹は、発見された名簿から、強制退去させられた日系585世帯の6割が沖縄からの移民だった事実に注目。ブラジル沖縄県人会の協力を得て生存者たちを訪ね、日本とブラジル、大和と沖縄の間に埋もれた史実を明らかにしていく。異国で知られざる戦争と戦後を生き抜き、晩年を迎えた人々の証言。彼らが自らの人生を語る言葉は、ヘイトクライムや難民問題など、今まさに共に生きることの難しさに直面している私たちに、道標のように響く……。
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