バルジ大作戦|MOVIE WALKER PRESS
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バルジ大作戦

1966年4月1日公開,175分
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第2次大戦時の史実を忠実にフィリップ・ヨーダン、ミルトン・スパーリング、ジョン・ネルソンらが共同で脚色、「史上最大の作戦」のイギリス編を担当したケン・アナキンが監督した戦争アクション。撮影はジャック・ヒルドヤード、音楽はベンジャミン・フランケルが担当した。出演は「危険な道」のヘンリー・フォンダ、「史上最大の作戦」のロバート・ライアン、「魚雷艇109」のタイ・ハーディン、「大脱走」のチャールズ・ブロンソン、「スペンサーの山」のジェームズ・マッカーサー、「危険な道」のダナ・アンドリュース、「偉大な生涯の物語」のテリー・サヴァラス、ロバート・ショウなど。製作はミルトン・スパーリングとフィリップ・ヨーダン。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

第2次大戦のヨーロッパ戦線。破竹の進撃を続ける連合軍の間では、ナチの崩壊も時間の問題だという楽観ムードになっていたが、陸軍中佐カイリー(ヘンリー・フォンダ)だけは、独軍が必ずもう1度、反撃に出てくるだろうという危惧を抱いていた。プリチャード大佐(ダナ・アンドリュース)によって一笑に附されたし、グレー将軍(ロバート・ライアン)らにも疑問をもって迎えられただけだった。その頃ドイツでは、ヘスラー大佐(ロバート・ショウ)らが、大奇襲作戦の準備にかかっていた。カイリーはあるのんびりした兵営地に行ったが、そのとき独軍の戦車隊の攻撃が始まった。同じ頃、米軍MPに変装した独兵のパラシュート降下は濃霧をついて敢行されていた。彼らの任務は戦車が渡り終えるまで、河にかかった橋の、米側による爆破を何とか阻止することだ。到着した米軍爆破隊を彼らは容赦なく射殺し、道標切り換え作業までやった。MP偽装の効果である。事態のただならぬことを逸早く気づいたのはカイリーだったが、猛進撃の前に撤退を余儀なくされた。カイリーは、その後決死の低空飛行で偵察を行ったが、敵砲の攻撃をうけ重傷を負った。ガソリンこそ敵を制する鍵と考えたグレー将軍は、その消耗を目的に戦車同士の鬼ゴッコ作戦をとりそれに成功した。敵は燃料補給のため引き返した。戦列からはぐれた兵士たちを拾い集めてウェーバー中尉(ジェームズ・マッカーサー)が本隊へ帰って来た。戦車隊のガフィー軍曹(テリー・サヴァラス)と合流、補給所へ急いだ。そこは、独軍変装のMPに守られていたが、ただ1人、瀕死のカイリーがそれを見破った。ウェーバーに目顔で知らせ、偽MPの制裁に成功した。それを知らない独軍戦車が近づいて来た。カイリーの命令で、ウェーバーはガソリンに火をつけるよう部下に命じた。あふれるガソリンに手榴弾を投げ込み、独軍の最後の猛反撃は無惨に破局を迎えたのだった。連合軍の勝利はこのとき決まった。

作品データ

原題
Battle of the Bulge
製作年
1965年
製作国
アメリカ
配給
ワーナー・ブラザース映画
上映時間
175分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.4
  • やまひで

    3
    2010/2/21

     ドイツ軍側の主役を演じたイギリス人俳優ロバート・ショウが、本作によって映画史の殿堂に入ったのは、衆目の一致するところであろう。いかにもアーリア人的で、バリバリのプロイセン型職業軍人をショウはよく体現していたと言える。

    さて、この映画では、西部戦線におけるドイツ軍側の組織的反攻の最後を飾る作戦が描かれている。(「バルジ(突出)」作戦とは連合軍側の名称であり、ドイツ軍側では暗号名として「ラインの守り」作戦、歴史叙述としては、「ルントシュテットまたはアルデンヌ反攻作戦」と呼ばれている。)そして、この作戦の準備期間を描く、本作の謂わば前編のシメを取るシークエンスが、本作で世界的にも有名になったドイツ軍の軍歌『パンツァー・リート』である。今回はこの軍歌を分析することによって、ドイツ国防軍の戦車戦術の第二次世界大戦期における在り様について考えてみたい。

    『パンツァー・リート』では、旋律自体は既に19世紀に存在してものが使われているが、これに、あるドイツ陸軍中尉が1933年6月に作詞したことで、『パンツァー・リート』は曲として出来上がったものである。1933年6月と言えば、ナチス党が政権を握って約5ヵ月程経った頃である。しかも、後に勇名を馳せることになる「ドイツ装甲軍団」はその存在の影さえも見えていなかった時期である。

    ところで、ドイツ語で言う「Panzer」とは、本来「Panzerkampfwagen」の略であり、装甲戦闘車両の意味である。日本語で言う「戦車」に当たるのが、「Kampfpanzer」で、キャタピラーで走行し、回転する砲塔を保持した装甲車両を言うのである。故に、「Panzerlied」も本来なら「「装甲戦闘車両の歌」と訳さねばならないところである。

    では、本題に入ろう。映画で勇壮に歌われる『パンツァー・リート』は、実は5番まであり、恐らくは、演出上これをドラマティックに盛り上げるために、映画では、1番のみを四回も繰り返して歌わせている。このお馴染みの1番は、むしろ戦車兵の日常を描いたものとして理解すべきであり、戦車戦術という観点からは、戦車の「敵」は、「野砲」であると歌う4番と並んで、2番が最も興味深い。その2番では、「稲妻(Blitz)が如く速く」と歌われ、ここに既に、後に「Blitzkrieg」と英語にも入った言葉が使用されている。この迅速さを以って、戦車隊は、先鋒として「Kamerad(「戦友」の意であるが、ここでは「歩兵」の意である)に先立ち、唯ひとり敵の戦列に突進する」のである。この、タンクは歩兵支援武器という従来の発想を乗り越えた、「パンツァー」将軍グーデリアンが編み出した、戦車部隊を歩兵隊から切り離して使用する戦術、パンツァー・カイル(戦車「くさび」)戦法が既にここに歌われていたのである。この運動戦のパラダイムが、ドイツ国防軍をして、1939年9月から1942年末までの3年間ヨーロッパの覇者にたらしめた源泉であった。しかし、その覇権は飛行機の時代が来るまでという限定付であり、その時代はまもなく訪れたのであった。図らずも1941年12月の「空軍対海軍」の「真珠湾攻撃」がその時代の到来を既に告げていたのであった。この意味で、この3年後の1944年12月のアルデンヌ反攻作戦は、制空権を持たない軍隊の無謀な賭けであった。作戦の失敗は初めから見えていたのである。本曲の5番が本作のR.ショウ演ずるドイツ国防軍将校へスラー大佐(モデルは実は武装SS将校!)の運命を事前に予定していた。「節操のない幸運の女神が我等を見放し、死の弾丸が我等に当たって、運命の神が我等を召すのであれば、我がパンツァーはくろがねの墓となれ!」と。

    最後に、『パンツァー・リート』を原語で歌いたい方のためにこれをカタカタ書きにいたしましたので、ご利用ください。

    kオプ‘ス| シュテュrルム・kトゥ・ オー・(ー)kダ| シュナイ・トゥ、
    オプ・ ディ| ゾ・(ー)・ネ・(ー)kウンス| ラハトゥ、
    kデア| ター・(ー)kク・ グリュー・(ー)kエントゥ| 
    ハ(ー)・kイス
    オー・ダー| ア(ー)・(ー)kイス・ カ(ー)・(ー)ルkトゥ・
    kディ| ナハト.
    //ベ(ー)| シュタウプ・トゥ・kズィントゥ・ ディ(ー)・ 
    ゲ(ー)| ズィ(ー)・ィヒ・ター(ー)、
    kドッホ| フrロー・(ー)kイストゥ・ ウン・ザー| ズィン、(オリジナルではここで短調となる)
    ヤー(オリジナルでは:kイストゥ)・ ウン・ザー| ズィン、
    エス| ブrラウス・トゥ・ウ(ー)・ンkザ| パ(ー)・(ー)ン・ツァー
    kイム| シュトゥ・rルム・ヴィ(ー)ントゥ・ kダ| ヒ(ー)ン//

    k:短く八分音符で発音する
    |:音節の区切りを表す
    r:舌先を数回震わせて発音する
    (ー):メロディーの関係から本来の発音より長く発音する
    //…//:オリジナルではここがリフレインとなる

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  • okara

    3
    2009/9/1

    いかにも職業軍人といった感じのドイツのヘスラー大佐をやったロバート・ショーがりりしくカッコ良かった。一方米軍ではテリー・サバラスの軍曹も形は違っても、戦うことにかけては一生懸命さが伝わってきます。ジェームス・マッカーサーも最初は頼んないけど後半はドンドン成長して段々と将校らしくなっていきます。何でもやってみて経験を積むということが大事だと思いました。

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  • 晴耕雨読

    3
    2009/8/22

     44年12月、冬のヨーロッパ西部戦線のベルギー北東部・アルデンヌ。別名幽霊戦線で祖国の全興亡を賭け、ナチスドイツ軍が連合軍へ大攻勢を行った突出部(バルジ)の戦いを描いた作品です。「空軍大戦略」では「サー」の称号を持つ並み居る名優たちの中にあって、一際目立ち、「ジョーズ」では脇役ながら強烈な個性で完全に主役を喰い、「007・ロシアより愛をこめて」では、シリーズ最高の悪役の存在感を示したロバート・ショウがドイツ軍精鋭20個師団の隊長を演じていますが、そのカッコよさといったら最高!です。

     但し、バストーニュの戦いでの米軍「シャーマン」戦車の砲身の短い75㎜砲がドイツ軍の「パンテル」「ティーゲル」戦車の厚い装甲を貫通出来ないシーンは良しとしても、ストーリー構成や兵器・武器・装備の考証がかなりいい加減なのが残念な映画です。人口雪には目を瞑るとしても、泥濘の中で対戦車砲を陣地に据えつけようと悪戦苦闘する米軍兵士たちの写真をドキュメントで知っているだけに、新緑と乾いた地面にはアングリと口を空けてしまいました。冬のヨーロッパ特有のどんよりとした暗い雰囲気が画面から全く感じられず、ハリウッド製の冒険活劇として鑑賞すれば合格点でしょう。

     またハリウッドがユダヤ人資本によって席巻されているとは言え、「マルメディ虐殺事件」が、ナチスドイツ軍がアメリカ軍捕虜を一箇所に集めて、完全包囲してから重機関銃の一斉射撃で虐殺したかのように描いていますが、敵か味方か!?見極めがつかないアルデンヌ地方特有の濃霧と錯綜した戦闘の混乱の中で偶発的に起きた事件が真相であり、冷静な軍事裁判の結果、告発されたドイツ軍兵士に無罪が言い渡された筈なのですが、意図的に歪曲して描いているところにプロパガンダを感じます。「U571」でも海上で溺れるアメリカ兵を機銃掃射するドイツ軍が描かれていましたが、「マルメディの復讐」とか「リメンバー・パールハーバー」、近年はベトナムのトンキン湾事件、そして9・11のリベンジと称して捕虜や一般市民を虐殺しまくったのがアメリカ兵であることは誰もが知っている事実ですよね。

     ドイツ軍の重戦車は米軍の戦闘爆撃機・ロッキードP38「ライトニング」によって壊滅させられたのですが、映画には登場しませんでしたし、ドイツ軍も徹底抗戦した訳ではなく1~2日食事をしていないとかの不平不満から投降して捕虜になったのが現実です。考えようによっては、「国のために死ぬより、自分の命が大事」とばかりに堂々と降伏する欧米人の徹底的な個人主義は、ある意味で見習う必要がありますね。…アメリカの戦争史研究者曰く、W・W・Ⅱでの最強の部隊編成とは、「アメリカ人の将軍」の立案した作戦を現場で指揮する「ドイツ人の将校」の下で戦う「日本人の兵士」だそうです。飢餓戦線で戦った日本兵に敬意を表します。

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