池田良
江夏
“食”を通じて、人間の秘められた欲望が暴露される姿を映し出す連作オムニバス。「納豆」「麻婆豆腐」「背油大蒜増々」というそれぞれの物語の中、芹澤興人演じる栗田という謎の男の登場により、登場人物たちの内なる性衝動が浮き彫りにされていくブラックコメディ。出演は「光」の橋本マナミ、「窮鼠はチーズの夢を見る」のさとうほなみ、「世界でいちばん長い写真」の武田梨奈。監督は「愛の病」の吉田浩太。
【納豆】とある休日の夕方。デザイナー・江夏(池田良)の家に見知らぬ男・栗田(芹澤興人)がやって来る。江夏の妻・真澄(橋本マナミ)の知り合いだという栗田は、真澄と不倫をしてしまい謝罪に来たのだという。そんな彼の告白に動揺する江夏。やがて、栗田は真澄との不倫の詳細を話し始めるが、江夏の知らなかった妻の内実が明らかになってゆく……。【麻婆豆腐】軽度のパニック障害で休職中の上原茜(さとうほなみ)。リハビリを兼ねて夕食の麻婆豆腐の買い出しのため、近所のスーパーへ車で行くことに。運転を心配する夫(中村無何有)をよそに、一人で運転を試みる茜。緊張しながら車を発進させるが、男を轢いてしまう。慌てて警察に連絡しようとする茜だったが、男は家まで送ってくれれば大丈夫だという。その男の名は栗田(芹澤興人)といった……。【背油大蒜増々】会社員の池上(尚玄)は、仕事に追われる日々。今日も体だけの関係の桃花(武田梨奈)とデートの約束があったが、仕事を理由にキャンセルした。既婚者である池上は、桃花との関係を続けているのも苦になっていたのだった。そんな彼が会社で仕事をしていると、桃花の携帯から連絡が入る。面倒に思いながら携帯を取ると、何故か電話口からは栗田と名乗る男の声が。不審に思う池山に、栗田は今、桃花と一緒にいると言ってきた……。
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