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エッセイ、文芸評論、小説、戯曲、古典の現代語訳、日本美術論など、膨大な作品を遺した作家橋本治。その橋本がデビュー当時から共創を切望し、ダイナミックな構図と煌びやかな色彩表現で“現代の浮世絵師”とも称される異能の画家 岡田嘉夫。二人のクリエーターが既成概念を打ち壊して挑んだ前代未聞の豪華本「マルメロ草紙」、その制作過程をつぶさに記録した秘蔵映像がついに公開される。
ストーリー
桁違いの知性と独自の語り口で、エッセイから文芸評論、小説、戯曲、古典の現代語訳、日本美術論など、膨大な作品を遺した作家・橋本治。彼がデビュー当時から共創を切望し、ダイナミックな構図と煌びやかな色彩表現で“現代の浮世絵師”とも称される異能の画家・岡田嘉夫。2人のクリエーターが既成概念を打ち壊して挑んだ前代未聞の豪華本が『マルメロ草紙』だ。二十世紀初頭のパリを舞台にした橋本の耽美小説を、岡田流アール・デコの挿絵が濃艶に彩り、2013年に集英社から定価35,000円(限定150部)で刊行された。その制作過程を8年にわたってつぶさに記録した秘蔵映像がついに公開される。“美しければ、文字なんか読めなくてもいい”。『マルメロ草紙』の制作が始まった日、橋本が毅然と言い放った言葉だ。文章を読ませることが本業にも関わらず……。橋本と岡田が目指したのは、アール・デコの優美さに貫かれた途轍もなく美しい本。2人は互いを挑発しながらアイデアを出し合い、それが叩かれ揉まれ、変化し、定着する。そこに装丁家、編集者、製版オペレーター、印刷技術者、製本職人たちが加わり、それぞれのクリエイティヴ魂全開で表現を深めていく。驚くべき繊細さで目標に向かっていくヴィジュアルの鬼たち。その現場は、いい歳をした大人たちが本気で遊んでいるカッコ良さに溢れていた。これまで伊丹十三、宮崎駿、深作欣二らのドキュメンタリーを制作してきた監督の浦谷年良にとって、長年の宿題だった本作がついに公開。だが、橋本や岡田、そしてこの記録を浦谷に勧めた刈部謙一も、もはやこの世にいない。本作は亡き三人の男たちへ、敬愛とともに捧げられる。