監督、撮影、編集
ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の生と死に向き合う3年半にわたる日々に密着したドキュメンタリー。監督は宍戸大裕。ナレーション・主題歌は寺尾紗穂。
ストーリー
全身の筋力が徐々に弱まり、病状の進行によっては声も失われ、意思を通わせることも難しくなる難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の確定診断を6年前に受けた佐藤裕美さんは、徐々に身体を動かすことが不自由になり、不安を募らせている。今は自宅の部屋でひとり、生を証すように詩を綴っている。障碍のある友人を通じて、48歳でALSを発症して18年の岡部宏生さんとめぐり合う。岡部さんは呼吸苦のために気管切開をして人工呼吸器を装着し声を失っているが、透明な文字盤を介して介助者に言葉を伝える。裕美さんが病への不安と戸惑いを吐露すると、岡部さんは「生きることを一緒に考えたい」と告げる。撮影から1年近くが経ったころ、裕美さんはカメラの前に身をさらすことへの違和感が抑えきれなくなり、映画スタッフの元に「今後の撮影は当面難しい」とメッセージが届く。“私”を形づくるものが崩され、喪失を繰り返すなかで「死にたい」と思う人は少なくない。岡部さんも、かつて呼吸器をつけて生きていくつもりはなかったが、ひとりの先輩患者との出会いがそんな気持ちを変えた。“安楽死・尊厳死”の議論は、「患者の自己決定」という言葉とともに先鋭化しつつある。岡部さんの友人・加藤眞弓さんは、眼球の動きも不自由になりつつあり、介助者は眞弓さんの身体を手でほぐし、立ちのぼる意思を見逃さないよう、顔と顔を向き合わせて呼びかけ、応答を待ち続ける。1年の取材休止期間を経て、裕美さんの撮影が再開される。3年半にわたる撮影期間には、別れと出会いがあった。裕美さんはある日「大事な友人を紹介したい」と岡部さんと旅に出る。旅先で、岡部さんは一つの願いを裕美さんに告げる。裕美さんは詩『長い旅』を書き上げる。
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ニュース
作品データ
- 製作年
- 2024年
- 製作国
- 日本
- 配給
- 映画『杳かなる』上映委員会
- 初公開日
- 2025年2月8日
- 上映時間
- 124分
- 製作会社
- 映画『杳かなる』製作委員会(企画:映画『杳かなる』製作委員会)
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