切なすぎる逃避行を映しだす…小泉今日子プロデュースの映画『ソワレ』が晩夏に公開
豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の第1回プロデュース作品『ソワレ』が、2020年晩夏に公開されることが決定。加えて、本作の特報映像とティザービジュアルが解禁となった。
本作は、長編デビュー作『燦燦 さんさん』(13)で「モントリオール世界映画祭2014」から正式招待を受けるなど、世界からも注目を集める外山監督が和歌山を舞台にしたオリジナル作品。主人公の翔太を演じる村上虹郎と、100人以上のオーディションから大抜擢された芋生悠(いもうはるか)の二人をW主演に迎え、若い男女のせつない逃避行を映しだす。
特報映像では、翔太とタカラ(芋生)が街を駆け抜け必死になにかから逃げ続ける焦燥感あふれる様子や、身を潜めた民家でひっそりとラジオを聞き、虚ろな表情を見せる姿などが切り取られている。背後に映る影の世界では、現実の暗い表情とは裏腹に、二人が手を取り合い流れる曲に合わせて体を揺らしているのも印象的だ。
ラジオから流れるこの曲は、「How many times did I kiss you ?」というタイトルで、本作の音楽監督であり作曲家で歌手の亀井登志夫と、詩人でアーティストの彼の亡き妻である亀井知永子が共作したラブソング。この楽曲を初めて聞いた時について外山監督は、「もし永遠というものがあるなら、こういうことを言うのだろうと心が震えました」と感激の気持ちを表現している。
タイトルの“ソワレ(soiree)”とは、フランス語で「陽が暮れた後の時間」「夜会」、または劇場用語で「夜公演」を意味する。プロデューサーの豊原によると、「誰もが心の奥底に秘める癒えることのない傷や大切な想いを “一夜かぎりのソワレ(夜会)に閉じ込め、次のまた新しい朝を迎え歩きだす」というメッセージを本作に込めたのだとか。
すでに、テアトルシネマグループ全館では、劇場毎に雰囲気の違う10カラーの“超”ティザーチラシ、“超”特報映像が配布、公開されており映画ファンの間で話題に。今回のティザービジュアルには、つらい現実から目を逸らすかのように俯いたままの翔太とタカラが自転車に乗り、まさに“逃避行”へと突き進む一瞬が描かれている。二人に待ち受ける結末は絶望か、それとも希望なのか。その結末を注視したい。
文/トライワークス