近年のボンドっぽさも?「007」シリーズのプロダクションが放つ、女性スパイ誕生譚
新型コロナウイルスの影響により11月20日(金)へと大幅に延期されシリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。ファンとしては一刻も早く新作が見たいものだがあと3か月ほどの辛抱。そんな人たちにチェックしてもらいたいのが、8月5日にパッケージが発売となった『リズム・セクション』だ。
1962年にアルバート・R・ブロッコリとハリー・サルツマンが設立した「007」シリーズで知られるイオン・プロダクションが製作に名を連ねており、現在の「007」シリーズを手掛けるバーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンがプロデューサーとしてクレジットされているこの作品。
マーク・バーネルの「堕天使の報復」を原作とした物語は、3年前に愛する家族を飛行機事故で失い、売春ととドラッグ漬けの堕落した生活を送っていた女性ステファニー(ブレイク・ライヴリー)が、とあることから家族の事故が何者かによるテロによるものだと知ると、真実に辿り着くべく元MI6職員のB(ジュード・ロウ)のもとで厳しい訓練を積み、スパイとなっていくというものだ。
ついつい「007」との共通点を探してしまいたくなる本作だが、往年の「007」シリーズのような華やかさとは真逆とも言えるようなストイックな印象を受ける。薬漬けの日々から抜け出し、体力をつけるため険しい山の中をひたすら走らされたり、根性を試され極寒の湖を泳がされたりと、とにかく特訓を重ねる。
さらに初めての任務では、殺しに対する心の折り合いがうまくつけられず、手こずりまくったり、自分のしたことに気持ちが沈んだりと、スパイ誕生譚ならではの描写もあり、鮮やかな手口が楽しめる「007」とは異なった魅力を放っている。
また近年の「007」シリーズとの共通点も見受けられ、スコットランドの寒々しい風景は『007 スカイフォール』(12)に、モロッコはタンジールの細々とした街並みは『007 スペクター』(15)にも登場。アクションは近年のシリーズを思わせるような無骨な肉弾戦が多め。画面越しに痛みが伝わってくるような迫力満点の格闘は見ものだ。
ステファニーの両親の名前など、「007」シリーズへのオマージュ的な部分も楽しめるので、是非ファンは、ソフトを手に入れて細かいところまでチェックしてみて欲しい!
文/トライワークス
DVD 発売中
価格:3,400円+税
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント