シャーリーズ・セロン「私が演じるキャラクターはいつも“サバイバー”」自身を作り上げてきた映画との関係を語る

コラム

シャーリーズ・セロン「私が演じるキャラクターはいつも“サバイバー”」自身を作り上げてきた映画との関係を語る

シャーリーズ・セロンが自身の代表作を振り返る
シャーリーズ・セロンが自身の代表作を振り返る写真:SPLASH/アフロ

Netflixオリジナル作品『オールド・ガード』(20)で不死身の傭兵役を演じ、キレキレのアクションを見せたシャーリーズ・セロンが、コミコン@ホームに登場、いかにして彼女がハリウッドでの立ち位置を築いていったかを語った。

「私はチャック・ノリスやチャールズ・ブロンソンの映画を好んで観る母親と、『マッド・マックス』が大好きな父親に育てられたのよ!」という威勢のいいコメントで始まったトークでは、女優というカテゴリーにはめられて歯がゆい思いをしていた時代について思いを馳せた。「『ミニミニ大作戦』に出演した時、私に与えられたカーアクションのトレーニング期間は男性キャストよりも6週間も長かったんです。とても屈辱的でした。そっちがその気ならいいじゃない、全部のアクションを自分でやるわ!って気分でした。よく覚えているのが、マーク・ウォルバーグが車が回転するシーンのスタントの練習を何度もやらされて吐いていたこと。私は360度回転を3回キメることができて、とても満足でした」と思い返す。

コミコン@ホームに参加し、過去作品について語ったシャーリーズ・セロン
コミコン@ホームに参加し、過去作品について語ったシャーリーズ・セロン

シャーリーズがいままで演じてきた役には、アカデミー賞主演女優賞を受賞した『モンスター』(03)の元娼婦の連続殺人犯、『ヤング≒アダルト』(11)の自意識をこじらせてしまった作家、そして『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)のフュリオサのような、いままでハリウッドで誰も演じてこなかったような女性像が多い。『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』(19)で大統領候補になる国務長官、『スキャンダル』(19)のミーガン・ケリー役もそうだ。それは彼女が意図的に意欲的な役を求めているのもあるが、女優という枠を破り、道を切り開いていくことが使命かのように、常にサバイバーでありたいと願っているからだそうだ。

「新作の売り込みを受けた時、最初に“彼女は戦士、彼女はヒーロー”みたいなことが書いてあると、決まり切った反応をしてみせるんです。女性であることの複雑さと美しさを単純化しすぎているでしょう。これまで演じたキャラクターのなかで、そのような特徴を強調しようとしたことはないし、私が演じるキャラクターはいつも、サバイバーという感覚を持っています。生き残ろうとする、それだけ。そこに共感しているんです。私はヒーローではないし、ヒーローとは関係ない。私を鼓舞してくれるのは、自分のことをヒーローだとは思っていない人たちですよ」、そう力強く語る。

転機となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサ役
転機となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサ役画像はCharlize Theron(@charlizeafrica)公式Instagramのスクリーンショット

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、彼女の役者としての軌道をすっかり変える経験だったと言う。「『ちょっと待って、もしかしたらいろいろな可能性があるんじゃない?』と気づかせてくれました。映画の題材を積極的に見つけ、企画開発をするようになりました。プロデューサーとしての自分自身が、いまの私を見つけたんです」。

また、主演だけでなくプロデューサーとして指揮をとった『アトミック・ブロンド』(17)での経験は、マーシャル・アーツを用いたアクションも含め、大きな収穫だったと言う。「『アトミック・ブロンド 』で達成したことを誇りに思っています。ギリギリの限界に挑戦しているように感じたし、いままで映画業界の女性が、“男性のように戦わなくては”と議論してきた既成観念は、いまならとてもばかげていると言えます。私たちは女性が女性として戦う姿を讃え、女性の身体のパーツをどう使えば効果的なのか知り尽くしているし、パンチはできなくても、頭を使えば、膝や肘を使って戦うことができるのです」。

不死の傭兵役でキレッキレのアクションを見せた『オールド・ガード』でも製作を務めている
不死の傭兵役でキレッキレのアクションを見せた『オールド・ガード』でも製作を務めている写真:SPLASH/アフロ

シャーリーズ・セロンは今後、2021年公開予定の『ワイルド・スピード/ジェット・ブレイク』に出演、時期は未定だが、『アトミック・ブロンド2』の構想もある。シャーリーズの歯切れのいい物言いを聞いていると、この先もきっと新しい道を切り開いていくのだろうと思わせる。 

文/平井伊都子

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