サーチライトと各国の映画祭がタッグ!クロエ・ジャオ監督『Nomadland』をお披露目
マーベルの新作映画『Eternals』(2021年2月12日全米公開予定)を控えている、気鋭監督クロエ・ジャオの最新作『Nomadland』。サーチライト・ピクチャーズが贈る本作が、今秋開催予定のヴェネチア国際映画祭、トロント国際映画祭、テルライド映画祭、ニューヨーク映画祭で上映されることがわかった。現地時間9月11日に第77回ヴェネチア国際映画祭と、第45回トロント国際映画祭で同時にワールドプレミア上映となる。
本来8月下旬にコロラド州で開催される予定だった第47回テルライド映画祭は、アメリカ中部と西部で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、中止を発表している。だが、“ロサンゼルスからテルライド映画祭”と題した特別なドライブイン上映会を開催し、ジャオ監督と主演のフランシス・マクドーマンドが登壇する予定。また、第58回ニューヨーク映画祭のセンターピース・セレクションにも選出されている。
『Nomadland』は、ジャーナリストのジェシカ・ブルーダーによるノンフィクション「Nomadland: Surviving America in the Twenty-First Century」を原作に、ネバダ州にある会社が倒産した後、ファーン(マクドーマンド)がバンに荷物を積み込み、現代の遊牧民として旅に出る姿を描く。ジャオ監督は、「私はアメリカの道に魅了されています。心が痛むほど美しく、深みにはまるように複雑です。私は何年も旅をしてきて、いつもその片鱗を捉えたいと思っていました。『Nomadland』を作ることができ、とても感謝しています。観客の皆さんがファーンの冒険に参加できることを楽しみにしています」とコメントを寄せる。
ヴェネチア国際映画祭のディレクター、アルベルト・バルベーラ氏は、「クロエ・ジャオ監督の新作を世界に向けてお披露目できることは大変な喜びであり、名誉なことです。『Nomadland』は、現代で主流とされている社会的意識のレーダーに引っかからないような世界への勇敢で感動的な旅です。この映画は、パンデミックによって引き起こされた隔離生活に身を置く今こそ特別な意味を持ち、相互扶助や強いコミュニティ意識のような価値観が、孤独や失敗、絶望から私たちを救うことができると証明してくれます。また、テルライド、トロント、ニューヨークの映画祭とこの美しい映画をサポートする機会を共有できたことを嬉しく思います」と述べている。
トロント国際映画祭の主催者、ジョアナ・ビセンテ氏とキャメロン・ベイリー氏は、「トロント映画祭の観客が、私たち同様『Nomadland』を気に入ってくれるのを待ちきれません。フランシス・マクドーマンドの胸を打つ演技と、クロエ・ジャオ監督がアメリカの“ならず者”を賢く包み込む様は、誰もが見るべき作品だと思います。ヴェネツィア、テルライド、ニューヨークでサーチライトの素晴らしい新作を上映できることを誇りに思います」と語る。
テルライド映画祭のエグゼクティブ・ディレクター、ジュリー・ハンツィンガー氏は、「クロエは、人間の経験の重層的な美しさを理解、描写し、『Nomadland』では新たな高みに到達しています」と述べている。
ニューヨーク映画祭ディレクターのユージーン・ヘルナンデス氏は、「クロエ・ジャオのすばらしい作品『Nomadland』がニューヨーク映画祭のセンターピースにふさわしいことは、映画を観た瞬間からわかっていました。この作品がヴェネツィア、テルライド、トロント国際映画祭の友人たちの心にも響いたことはまったく驚きではありません。この秋、映画祭の仲間たちと連帯して、クロエとフランシスの素晴らしい業績をニューヨークの観客の皆さんと共有できることを嬉しく思います」とコメント。
また、プログラミング・ディレクターのデニス・リム氏は、「クロエが、これまでで最も野心的かつ感動的な作品で映画祭に戻ってきてくれたことを光栄に思います。フランシス・マクドーマンドの忘れがたい演技に支えられた『Nomadland』は、不安定な時代を生きる私たちのためのロードムービーであり、クロエがアメリカの末端の生活の、最も明晰で人間味あふれる観察者の一人であることを証明しています」と語った。
『Nomadland』は今秋にアメリカ国内で劇場公開され、その後海外でも公開される。日本での公開は未定。
文/平井伊都子