亀梨和也、コロナ禍で握り締めた“全力プレー”の精神「僕の大きな軸は変わらない」
KAT-TUNのメンバーとしてきらびやかなステージに立ち、俳優としても数々の作品で存在感を発揮してきた亀梨和也。中田秀夫監督が松原タニシのベストセラーノンフィクションを映画化する『事故物件 恐い間取り』(公開中)では、ホラー映画に初挑戦。持ち前のセクシーなオーラを消し去り、“売れない芸人”役に身を投じた。
本作のオファーに「最初はすごく悩んだ」というが、Jホラーの旗手である中田監督とのタッグに喜びを感じ、「腹をくくった」という亀梨。自らもアイデアを出し挑んだ“売れない芸人”の役作りや、コロナ禍で握り締めた「常に、いまできる最大限のことを模索していきたい」というブレない仕事へのモットーを明かした。
“事故物件住みます芸人”として活動する松原タニシの実体験をもとに、『リング』(98)などで知られる中田監督が映画化した本作。テレビ番組への出演を条件に事故物件で暮らすことになった売れない芸人のヤマメ(亀梨)が、人気者になっていく一方で次々と怪奇現象に巻き込まれていく姿を描く。
「ホラー映画のお話をいただいて、最初はすごく悩みました」
「ホラーをエンタテインメントとして、“楽しむ側”だった」という亀梨は、「チラシやポスターにもおどろおどろしい文字が並ぶ作品に、自分が作り手として参加していいものなのか。どのように向き合えるのだろうかと、最初はすごく悩みました」と告白する。
背中を押したのは、これまでの縁と中田監督の存在。「『PとJK』に出演させていただいた時に、松竹の方々とお仕事をさせていただいて。そこで知り合ったスタッフさんの存在もありましたし、ホラー映画で中田監督とご一緒させていただける機会なんて、そうそうあるものではないですから。腹をくくって、きちんと準備をして挑ませてもらおうと思いました」。
具体的な準備としては、「関西弁を使う芸人の役でしたので、友達でまさに“売れない芸人”がいるので、その友達に『擬似体験させてくれないか』とお願いしました」と友人にも協力してもらったそう。
「彼に相談して若手芸人さんの劇場公演を観に行かせていただいたり、若手の芸人さんたちがよく行くような場所を教えてもらい、街に繰りだして一緒に時間を過ごしてみたり。芸人仲間の方たちとも一緒にご飯を食べさせてもらいました。僕は“一番下っ端の芸人”という設定で時間を過ごしていたので、『飲み物、大丈夫ですか!?』と聞いて、オーダーを注文したり(笑)。そういった日々を何日か経験させてもらいました。さらに彼は関西出身なので、関西弁でずっと話すようにしていました」と生活スタイルから役を染み込ませたといい、「すごく心強かったですね」と友人に感謝。「タニシさんの番組もたくさん拝見させていただきましたし、インタビュー形式でタニシさんからいろいろと聞きだしたり、タニシさんの仕草を研究したり。やれる準備はなんでもやろうと思っていました」。
「お客さんの頭からいつもの亀梨和也を消したかった」
亀梨が役作りをするうえで、もっとも大事にしていたのは「本作を楽しんでもらうためには、お客さんの頭からいつもの亀梨和也を消す作業が必要だ」ということ。中田監督ともヤマメのキャラクター造形について何度もやり取りを続け、時には自らアイデア出しをすることもあったという。
「“ヤマメがコントをやってスベる”というシーンがあるんですが、当初の台本では普通のコントになっていました。でも10年の間、芸人をやっても芽が出ないという、売れない芸人としての空回り感のようなものを出すためには、“あれをやってもダメ”“これをやってもダメ”と模索している感じが出るといいかなと。そこで女装をしたコントにしたら、お客さんに彼の必死さみたいなものが伝わるかなと思ったんです」と監督とも話し合った結果、劇中では亀梨の女装もお目見え。
さらに「髪も伸ばしっぱなしで、くしゃくしゃっとしたものにしてもらったり、メガネをかけたり…。いつもの自分がシュッとしていると思っているわけではないですが、自分のイメージを壊すためのアイデアはいろいろと出させてもらいました」とニッコリ。中田組の現場は「チームプレイが感じられる現場だった」と語り、「監督はとても明るい方なんです。現場は明るく、でも時にものすごくストイック。とてもいい時間を過ごさせていただきました」と充実感をみなぎらせる。