波瑠が浮かべる優しい笑みの理由とは…直木賞受賞作『ホテルローヤル』の予告映像が完成
「硝子の葦」や「起終点駅 ターミナル」などで知られる桜木紫乃が2013年に発表し、第149回直木賞を受賞した同名連作小説を、『百円の恋』(16)で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した武正晴監督が映画化した『ホテルローヤル』(11月13日公開)。このたび本作の予告映像が解禁された。
原作者である桜木の実家だったラブホテルを舞台にした7編の物語を、現代と過去を交錯させた一つの物語へ脚色した本作。受験に失敗し、家業である北海道の釧路湿原を望む高台のラブホテルを手伝うことになった主人公の雅代。彼女はアダルトグッズ会社の営業マンである宮川への恋心を秘めながら黙々と仕事をこなす日々を送っていたが、ある時ホテルの一室で心中事件が発生。ホテルはマスコミの標的にされ、父の大吉は病に倒れてしまう。
解禁された予告映像では波瑠演じる雅代をはじめ、松山ケンイチ演じる宮川や安田顕演じる大吉、さらには子育てと親の介護に追われる夫婦や行き場を失った女子高生と妻に裏切られた高校教師など、“ホテルローヤル”を取り巻く人々の様々な人間模様を垣間見ることができる。どこか寂しさを抱え、非日常を求めてやってくる人々を優しく充たす場所であるホテルローヤル。父親とのぎくしゃくした関係や事件を通して、初めてホテルや自分の人生と向き合うようになる雅代。彼女が予告のラストで見せるささやかな笑顔からは、新たな旅立ちを予感させる。
そんなせつなさと温かさを携えた本作を彩る主題歌も、この予告映像と同時に解禁。1978年に発売されて以来、多くのアーティストによって歌い継がれてきた柴田まゆみの名曲「白いページの中に」を、いま注目の女性アーティストLeolaが持ち前の優しい歌声でカバー。そのノスタルジックなメロディに乗せて紡がれる、人生の哀歌と一瞬のきらめきに、きっとだれもが深い感動に包まれることだろう。
文/久保田和馬