ラッセル・クロウ新作が、北米で映画館復活の“希望”に!『ハリー・ポッター』は大台突破でブーム再燃か
新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、全米各地の映画館のほとんどが休館を余儀なくされてから5か月。先々週末に北米299館で公開されたラッセル・クロウ主演のアクション・スリラー『Unhinged』が、公開2週目を迎えた先週21日からは1823館へ拡大公開された。
新作映画が1000館以上の大規模で公開されるのは、パンデミック以後では初めてのことで、同作はこの週末3日間だけで興行収入400万ドル以上を記録。コロナ禍以前の感覚で言えばお世辞にもヒットとは言い難い成績ではあるが、ニューヨークやロサンゼルスなどの主要地域で映画館の再開の見通しが立っていない現状を考えれば、大健闘と言えるだろう。
「Variety」の報道によれば、来週にはさらに2300館までの拡大も予定されているとのことで、関係者は最終興収3000万ドルをを目標にしているとか。製作費の3300万ドルには及ばない赤字収支となることは間違いないが、同作が今後の映画興行の未来を担う“希望の星”となっているようだ。
現在アメリカ国内では日本と同様に座席間のスペースを確保したり、オンラインチケットの促進による接触機会の減少、また来場者へのマスク着用を呼びかけるなどの施策がとられながら、徐々に映画館が再開しはじめている。それでもこの数か月の間に、大作映画が相次いで公開延期となったことの影響は大きそうだ。
先日、ディズニーは『ムーラン』(9月4日配信開始)の北米での劇場公開を見送り、公式動画配信サービス「Disney+」で配信することを発表。今週末にはさまざまな意味で待望の公開となる「X-MEN」シリーズの最新作『The New Mutants』が、そしてその翌週にはクリストファー・ノーラン監督の最新作である『TENET テネット』(9月18日日本公開)が控えているが、映画興行全体がパンデミック前の水準に持ち直すには1年半近くの長い時間がかかる見込みとも言われている。
そうしたなか、新作の公開延期によって一部の国々で再上映されていた『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)が、世界興収10億ドルの大台を突破したという嬉しい報せも。2001年に公開され全世界で9億7400万ドルを超える大ヒットとなった同作は、その後もコンスタントに再上映が行われてきた。今年はアイスランドとオランダ、イギリス、ニュージーランド、中国などで再上映がされ、なかでも3DとIMAXの両バージョンで公開された中国が興行成績上乗せの後押しとなっているようだ。
「ハリー・ポッター」シリーズ作品が10億ドルの大台を超えるのは最終作である『ハリー・ポッターと死の秘宝Part2』(11)につづいて2作目。日本でも、東京の老舗遊園地である「としまえん」が2023年に「ハリー・ポッター」の施設に生まれ変わると報じられるなど、ブーム再燃の兆しを見せている。
また、同じJ.K.ローリングの「魔法ワールド」作品である「ファンタスティック・ビースト」シリーズの3作目は、新型コロナウイルスの影響で撮影が延期されていたが、まもなく再開される見込みと報じられたばかり。そちらの全米公開は2021年11月。その頃には、世界中の映画館が活況を取り戻していることを願うばかりだ。
文/久保田 和馬