「クレヨンしんちゃん」の原点を再構築!傑作『ラクガキングダム』創作秘話を、京極尚彦監督&近藤慶一プロデューサーが明かす
「『宝石の国』の主人公も、普通のアニメではありえないキャラクター」(京極)
京極監督は「挑戦しがいのあるキャラクターだった。今後においても、影響を与えてくれたと思います」としんのすけが特別な存在となった様子だ。
「偶然ではありますが、『宝石の国』の主人公(フォスフォフィライト)もそんなにモチベーションがなくて、なにかをほしがったりもしないという、アニメの主人公としてはありえないキャラクターでした。それでいて、周囲の人をなぜか惹きつけてしまうんです。普通はアニメの主人公というと、拳を振り上げて、そこにみんなが集まるようなキャラクターが多いですよね。『ラブライブ!』の主人公である高坂穂乃果は、そういった熱いタイプでもあります」と分析し、「しんのすけやフォスには、“抜け感”とも言える、色あせない不思議な魅力があるんだと思います。『さあ、行こう!』とみんながやる気を出して振り返ってみると、寝ていたり(笑)。僕自身、そういったキャラクターも大好きなんですが、これまでなかなか描く機会がなくて。いろいろなチャレンジができた作品で、しんちゃんに教えてもらったことはたくさんあると思っています」と充実感をにじませていた。
「クレヨンしんちゃん」世代の2人が大いに“しんのすけトーク”で盛り上がったが、最後に印象的なテレビシリーズや劇場版を教えてもらった。
近藤は「劇場版シリーズ4作目の『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』です。僕は自由奔放なしんのすけが大好きなので、今回も『ヘンダーランドのような映画を作れたらいいな』と思っていたところもあります」と回答。
京極監督は「テレビシリーズだと、ホラー回が印象的ですね」とニッコリ。「子どもって『怖い』と思ったものは覚えているもの。それを『ここまでやってしまっていいんだ』という見せ方をされていて、すごいなと思いました。ホラーって実はとても演出力がいるので、そういった意味でも印象的です。また劇場版では、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』です。僕が大学に通っていたころに公開になったのですが、学校でもかなり話題になっていて、大人からも評価を受けていると知ったきっかけは『オトナ帝国の逆襲』だったと思います」。
取材・文/成田 おり枝