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西川美和監督『すばらしき世界』がトロント国際映画祭で初披露!役所広司らがリモート参加

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西川美和監督『すばらしき世界』がトロント国際映画祭で初披露!役所広司らがリモート参加


<トロント国際映画祭でのQ&A>

Q:いままでの西川監督の長編作品はオリジナルストーリーで、文学賞も受賞してこられました。『すばらしき世界』は別の方が書いた小説を原案とした初めての作品となります。社会になじもうとする元ヤクザを描いたこのストーリーのどんなところに惹きつけられましたか?また、佐木さんの原作「身分帳」にはどのくらい忠実に翻案されましたでしょうか。

西川監督:「前作『永い言い訳』の撮影中に佐木隆三さんが亡くなられたと新聞を見て知りました。その記事の中で、佐木さんをよく知る作家の方が、佐木さんの真骨頂は非常に有名な「復讐するは我にあり」よりも「身分帳」ではないか、と書かれていたんです。それがきっかけでこの原作を手に取りました。そこで描かれていたのは、犯罪者が刑務所を出たあとになんでもない日常を取り戻すために、こつこつと生きる地味な話だった(笑) 。これは、自分で探しても見つけられるテーマではないと思い、映画化してみたいと強く思いました。たくさんのエピソードが詰め込まれている小説を2時間の映画にどう集約するかということが、オリジナルで映画を作ってきた私にとっては、とても手こずった部分でしたが、2、3年かけて取捨選択して書き上げました」

Q:役所広司さんの演技は息をのむほどで、この役にぴったりでしたが、三上役にはどのようにキャスティングされたのでしょうか。脚本の段階ですでに役所さんが頭にありましたか?

西川監督:「17歳の時に、役所さんが連続殺人鬼の役をやられたテレビドラマを観ていたくショックを受け、それがきっかけでものを書く仕事につきたいと思うようになりました。映画監督をやることになり、いつか役所さんを主役に映画を撮れないかと考えてきました。本作の三上という男は非常におもしろい役なので、憧れの役所さんに一念発起してオファーをしたところ、『前向きに考えます』とお返事をいただき、それが自信となって脚本を書き進めることができました」

Q:役所さん、三上の役の解釈がとてもすばらしかったです。ニュアンスと個性が豊かで、感動的かつカリスマ的でした。この役にはどのような準備をされましたか?

役所:「原案である小説『身分帳』と西川監督が書いた脚本を比べて読みながら、小説はもちろんト書きが多いのでその部分は脚本と照らし合わせて、三上という男を探し求めていました。しかしこの男がなかなかつかめなかった。撮影が始まってから、ワンシーン撮ったものがまた次のシーンのヒントになり、少しずつ三上という男に近づいていく感じがありました。あとは、ミシンの練習を一生懸命やりました(笑)。また監督と一緒に旭川刑務所を見学できたことは非常によい経験になりました」

文/富塚沙羅

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