元宝塚トップスター・明日海りおが明かす、退団後に挑んだ『ムーラン』への想い。目指す女優像は?
「どんどん進化していけるような役者になりたい」
特に難しかったのは、声を出すタイミングを画に合わせることだった。「映像に何秒で話せばいいかという目安をカウントする数字が映しだされるですが、声優の仕事は初めてだったので、その分数や秒数を見て、かなり焦ってしまいました」。
声のトーンについて、参考にした舞台があるかと尋ねると「なにか、引っ張ってこれるものはないかといろいろ考えたんですが、ムーランはムーランで独立したキャラクターなのでイチから役作りしたんです」とのこと。「私のファンで、声を知ってくださっている方は、『あの作品で演じていた、あの役の声の高さだね』と思われるかもしれませんが、男役の時の発声よりはずっと女性寄りになっていると思います」。
今後、目指したい女優像について尋ねると「宝塚の舞台を離れて、まだ1年も経ってないのですが、声優のお仕事はもちろん、ほかのお仕事でも、表現の方法はたくさんあるんだなと思いました。だから、それぞれの分野ごとに習得しなければいけない技術が山程あると実感したので、どの世界でも、自分なりに少しずつ身につけていけたらいいなと思います」と意欲を見せる。
憧れの女優は、「すてきな女優さんはいっぱいいらっしゃるんですが」と前置きしつつ、深津絵里や安藤サクラの名前を挙げる。
「自分自身が、どんどん進化していけるような役者になれればと思っています。また、ジャンルについても、求められればなんでもやっていきたいので、頑張って体を鍛えていきたいです」
この日はムーランのごとく、情熱的な赤いドレスをまとっていた明日海。その凛とした美しさと気高さは、『ムーラン』そのものだと思った。
取材・文/山崎伸子
作品情報へ