松本幸四郎と市川染五郎が語る、親子共演の三谷かぶきと、今後の展望

インタビュー

松本幸四郎と市川染五郎が語る、親子共演の三谷かぶきと、今後の展望

『 シネマ歌舞伎 三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』で親子共演を果たした松本幸四郎と市川染五郎
『 シネマ歌舞伎 三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』で親子共演を果たした松本幸四郎と市川染五郎撮影/黒羽政士

2019年6月に歌舞伎座で上演され、大盛況となった新作歌舞伎が、シネマ歌舞伎 『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』(10月2日公開)としてスクリーンに登場する。本作で、松本白鸚も含め、親子三世代での共演を果たした松本幸四郎と市川染五郎。白鸚と幸四郎親子にはゆかりのある三谷幸喜作品に、2人はどう挑んだのか。また、初の新作歌舞伎にトライした染五郎は、この舞台でなにを得たのか。シネマ歌舞伎自体の魅力と共にその舞台裏について話を聞いた。

大黒屋光太夫役の松本幸四郎
大黒屋光太夫役の松本幸四郎撮影/黒羽政士

本作は、人気歴史漫画「風雲児たち」をベースにした冒険コメディで、時代は、鎖国中の江戸時代後期。大黒屋の息子、光太夫(松本幸四郎)率いる商船、神昌丸は、激しい嵐に遭い、8か月の漂流後、ロシア領のアムチトカ島に上陸。光太夫たちは、いつか故郷に帰りたいと思いながらも、異国の地で力を合わせて生活していく。染五郎は、見習い水手の磯吉役を演じた。

本作の脚本を読んだ感想について、幸四郎が「主人公の光太夫が全然立ち止まらない展開で、すごくワクワクしました。それぞれの人物が、その時々で間違った決断をすることもありますが、せつなさも感じましたし、共感できたんです」と言うと、染五郎は「新作歌舞伎に出るのは初めてでしたが、想像していたよりも台詞が多く、かなり重要な役どころだったので、正直、最初は不安でした」と、プレッシャーを感じたことを明かした。

幸四郎は、そんな染五郎についてどう見守っていたのか。「今回、こういう機会を三谷さんからいただき、まずはいろんなことを自分で考えて、やってみてほしいと思いました。稽古場では特にそうで、なにをやっても、三谷さんという舵取りがいて、正しい道を示してくれるから、『とにかくやること』と言っていました」。

【写真を見る】15歳とは思えないほど、色気が漂う市川染五郎。2人の撮り下ろしカット7点
【写真を見る】15歳とは思えないほど、色気が漂う市川染五郎。2人の撮り下ろしカット7点撮影/黒羽政士

染五郎も「稽古期間が丸々1か月間と、通常の歌舞伎に比べれば長かったので、最初はとにかく、三谷さんたちから教えていただいたことをそのままできるようにならないと、という意識でした。不安とプレッシャーは常に感じていましたが、確かにいろいろなことを試せたような気はします」と食らいついていったようだ。

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