永作博美、『朝が来る』河瀬直美監督の撮影方法に驚き!「これは罠だなと」

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永作博美、『朝が来る』河瀬直美監督の撮影方法に驚き!「これは罠だなと」

直木賞受賞作家の辻村深月のベストセラー小説を『あん』(15)の河瀨直美監督が映画化した『朝が来る』(10月23日公開)の完成報告会見が10月6日に都内で行われ、主演の永作博美をはじめ井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、河瀨監督がそろって登壇。“役積み”と言われる河瀬組の驚きの撮影方法や、世界的なコロナ禍で上映される本作への熱い想いをたっぷりと語った。

『朝が来る』完成報告会見が開催!
『朝が来る』完成報告会見が開催!

2020年のカンヌ国際映画祭公式選出作品となる本作。“特別養子縁組”によって繋がった、実の子を持てなかった夫婦と実の子を育てることができなかった14歳の少女。夫婦が息子を育てていくなか、6年後に突然産みの母親と名乗る女性から「子どもを返してほしい」と連絡が入る…。

家族の絆と胸を揺さぶるそれぞれの葛藤が描かれる本作だが、原作の惹かれた点について聞かれた河瀬監督は「感動しない小説は映画にしません。すべてに感動しました」ときっぱり。「新しい命の讃歌、その光に到達できる映画にしたいと思って辻村さんのもとへ行き、今日を迎えることができました」と感無量の表情。
すでに映画を観た方たちからは「河瀬映画のなかで一番のエンタテインメントだと言っていただいている」といい、「最後まで見飽きることないの作品に仕上がったと思います」と自信をのぞかせた。

終始、熱い眼差しで作品について語っていた河瀬監督
終始、熱い眼差しで作品について語っていた河瀬監督

実の子を持つことが叶わなかった妻の佐都子役を演じた永作。役作りについては「小さなことを逃さないように、とにかく丁寧に大切に作っていきました」と回顧。井浦も「河瀬監督は完全なる順撮りなので、演技ではなく経験していくことで心の動きも変化していく。素直に心を動かすことを大切にしました」と振り返った。

また撮影時の河瀬監督について聞かれた永作は、「なにかを要求するというよりは、無言の圧ですよね…(笑)」と含み笑い。すると「僕も常に追い込まれていました(笑)」と井浦も同調。しかし「それは監督が真剣に映画作りに取り組んでいるからこそ。すべてのシーンが大事だからこそ、言葉にせず目で語ってきてくれる。安心しながら全身を捧げていました」と河瀬への絶大なる信頼を見せていた。

河瀬組の撮影方法に永作博美もびっくり!
河瀬組の撮影方法に永作博美もびっくり!

さらにカメラがない状態でも、実際にロケで使用する家に住むなど役を積みあげる“役積み”を大切にする河瀬監督だが、「これに関してはスタッフをどんどん信じられなくなっていって…」と永作もびっくり顔。「疑心暗鬼になるくらい、どのシーンも役積みがありました。カメラがないなかどんどん進んでいって、これ罠だなと」思ったと明かし、井浦も「カメラが隠されているんじゃないかと。変なモードになっていて料理の味を覚えてないです(笑)」と話すと、河瀬監督は「観客で観ている方が違和感を持たないくらいに馴染んでもらわないと」と裏側の想いを吐露。
さらに実の子を育てることができなかった14歳のひかり役を演じた蒔田も「家族の人たちと3週間近く一緒に住んで、お風呂入ってって怒られたり」と、役と同じリアルな生活を送ったそう。「でもその期間でできた関係性が映画のなかに映っているなと思いました」と、その効果に確かな手ごたえを感じていた。

少女ひかりを演じた蒔田彩珠と河瀨直美監督、感慨深げに笑顔でパチリ!
少女ひかりを演じた蒔田彩珠と河瀨直美監督、感慨深げに笑顔でパチリ!

コロナ禍で“家族”の大切さが改めて見直されている現在。それぞれの“家族”とは?という質問に永作は「“仲間”。いろんなものを一緒に超えていく、そして教えてくれる仲間」と回答。
また自身も養女で、養子縁組をしてもらった子どもであると語った河瀬監督は「私は父と母には育てられず、家族がなんであるかをずっと問うてきて、なにかしら自分の作品にはその問いがありました」とこれまでの映画作りに言及。その上で「原作ものではありますけど、本作を作り上げた河瀬組が私の家族」だと言葉に熱を込めた。

キャスト陣とにこやかにパシャリ!
キャスト陣とにこやかにパシャリ!

終盤には、息子の朝斗役を演じた佐藤令旺がブーケを持って登壇。キャスト陣に一つずつ渡し、さらには本作の「世界25か国での公開決定」が発表されると、会場は大きな拍手で包まれた。
最後は河瀬監督が「新しい命がこの世界を美しいと想えるような、この映画がその小さな力になれればいいなと思っています。どうぞこの映画を育てて下さい。どうか皆さんに会いたいです」と心からの言葉で熱く呼びかけた。

取材・文/富塚沙羅

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