韓国スター、コン・ユが積み重ねる着実なキャリア。『82年生まれ、キム・ジヨン』は「どうしてもやりたいと思った」
Netflix配信ドラマ「愛の不時着」「梨泰院クラス」のヒットにより、第4次を迎えている「韓流ブーム」。日本でも多くのファンから愛されているのが、韓国が誇る実力派俳優のコン・ユだ。
「コーヒープリンス1号店」でブレイク後、社会派作品で存在感を示す
1979年生まれ、身長184cm。鍛え抜かれたボディとエイジレスの容貌に、大人の色香&飾らない人柄が魅力のユは2001年にドラマ「学校4」で俳優デビュー。その後、御曹司役を演じた「コーヒープリンス1号店」(07)で一躍スターダムに。近年は「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」(16~17)で900年の時を生きる鬼神"トッケビ”を魅力たっぷりに演じ、百想芸術大賞TV部門・男性最優秀演技賞を受賞している。
「ラブコメの帝王」、「キス王子」などの愛称を持ち、恋愛ドラマの名手としても知られる彼だが、兵役以降は映画俳優として存在感を拡大中。その主戦場は社会派作品だ。
彼のフィルモグラフィを語る上で外せないのは、聴覚障がい者学校で実際に起きた事件をベースとする『トガニ 幼き瞳の告発』(11)だろう。ユは性的虐待の実態を告発する美術教師役を演じている。そのあまりの衝撃的な内容に、公開後には児童性的虐待防止の法律が制定され、加害者たちの逮捕にまで発展するのだが、実は本作は兵役中に原作小説を読んだユが、映画化を熱望したことから生まれた作品なのだという。
そして高速鉄道を舞台とするサバイバルパニック『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)。ユが父性に目覚める父親役を熱演したこの作品は、ジャンル映画ながら痛烈な社会風刺が込められ、日本でも大ヒットを記録したのは記憶に新しい。
日本でも社会現象となった小説を映画化!妻を親身になって支える夫役に
そんなユの3年ぶりとなる最新映画は、韓国で130万部を突破したベストセラー小説を原作とする『82年生まれ、キム・ジヨン』(公開中)。韓国のジェンダー意識に鋭く切り込み、現代女性の生きづらさを浮き彫りにした社会派ドラマだ。
『トガニ』『新感染』に続いて3度目のタッグとなるチョン・ユミが心のバランスを崩してしまうヒロインのジヨンを演じ、ユはジヨンを親身になって支える夫のデヒョンを体現している。
育児と家事に追われるジヨンは、閉塞感に苛まれ、時おり他人が乗り移ったかのような言動をとり始める。その異変をきっかけに女性がぶち当たる理不尽な社会通念に気づいたデヒョンは、ジヨンを気遣い、出世街道から外れるのを厭わずに自分が育児休暇をとることを提案する。
子どもを欲しがるのんきな夫から、苦悩しながらも妻に寄り添う夫へと変わっていくデヒョンを、ユは親近感を感じさせる丁寧な演技で表現している。その妻への深い愛を感じさせる誠実さと温もりは、ジヨンのみならず観る者の心を癒すことだろう。
「作品選びは慎重」と公言するユが、「いまの時代を生きる大勢の“ジヨン”の物語です。平凡な人たちの話ですが、作品には重みを感じました。どうしてもやりたいと思いました」と語るとおり、出演を迷わなかったという『82年生まれ、キム・ジヨン』から、希望と勇気をもらって欲しい!
文/足立美由紀
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